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2023 年度 実施状況報告書

虫害抵抗性におけるRALF-マレクチン型受容体キナーゼを介したDAMP認識機構

研究課題

研究課題/領域番号 23K05248
研究機関東京理科大学

研究代表者

出崎 能丈  東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, プロジェクト研究員 (80711647)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード害虫応答 / エリシター / DAMPs / 受容体キナーゼ
研究実績の概要

本研究課題では我々が先行研究として進めてきた害虫食害時にDAMPとして機能するRALFペプチドならびにその受容体を同定することを主目的としている。
まず、先行研究から関与が示唆されてきたハスモンヨトウ食害時、シロイヌナズナにおいて発現が高まるRALF遺伝子9つに関して、リソースから変異体を取り寄せ、ホモ化を進めてそのハスモンヨトウ食害に対する機能解析を行った。ハスモンヨトウ食害時の体重増加量を指標に評価を行った結果、1つの遺伝子の変異体において野生型に比べてハスモンヨトウの体重増加量が増加したことから、この因子が食害時にDAMPとして機能することが強く示唆された。併せて、小麦無細胞系を用いて調製した9つのRALFペプチドおよび受容体候補であるFERONIAおよびTHESEUSの相互作用をアルファスクリーンによって解析した結果、FERONIAと3つのRALFが、THESEUSと4つのRALFが結合することが示された。いずれの受容体候補とも結合したRALFには、先述した変異体解析から関与が示唆された遺伝子が含まれており、この因子がDAMPとして2つの受容体を制御することが示唆された。
受容体側の機能解析として過剰発現体ならびに複数アリル変異多での評価を計画していたが、作出した過剰発現体は生育異常が見られ断念をせざるを得なかった。このことはこれら2つの受容体が生長制御にも機能していることから、当然の結果と判断した。一方で、FERONIAに関しては異なるアリルの変異体を入手して解析を行った。その結果、先行研究と同様に変異体が虫害抵抗性を負に制御していることが示され、FERONIAの機能が明確になった。この新規変異体は、虫害抵抗性の表現型は維持したまま、既存の変異体よりも生育に与える影響を少なかったことから今後の活用を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画に従い、順調に成果を得ている。
次年度に必要となるペプチドの合成などを進めており、今後の研究の加速が期待できる。
一方で、変異体の表現型が複雑であり、DAMPと受容体間の直接的な関係性の理解が難しい状況にある。しかし、当初の計画を変更し2年目初めにRNAseqを用いた応答解析を進めることにしており、研究の進展が期待できる。

今後の研究の推進方策

まず、当初の研究計画を推進する。特に、合成したRALFペプチドを活用した応答解析、ならびに、受容体とDAMPの直接的な制御関係を明らかとすることを目指す。その為に、当初に計画から変更して各変異体を用いたRNAseq解析を実施することにした。この結果から、DAMPおよび受容体が共通して制御する遺伝子を明らかとする。
また、当初の研究計画にもあったRALF/M-RLKの応用基盤の構築に関しては、代表者の所属機関が変更になったこともあり、新所属先の特徴を生かしてより強化して進めていくこととする。

次年度使用額が生じた理由

当初計画から変更してRNAseq解析を導入することを決定した為、その為の予算として一部繰り越しを行った。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Cytoplasmic Kinase Network Mediates Defense Response to Spodoptera litura in Arabidopsis2023

    • 著者名/発表者名
      Desaki Yoshitake、Morishima Minami、Sano Yuka、Uemura Takuya、Ito Ayaka、Nemoto Keiichirou、Nozawa Akira、Sawasaki Tatsuya、Arimura Gen-ichiro
    • 雑誌名

      Plants

      巻: 12 ページ: 1747~1747

    • DOI

      10.3390/plants12091747

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シロイヌナズナにおけるハスモンヨトウの活性型糖エリシター受容機構モデル2024

    • 著者名/発表者名
      黒川友梨香、中田みのり,橋爪裕人,八須匡和,出﨑能丈,根本圭一郎, 野澤彰,澤崎達也,上村卓矢,有村源一郎
    • 学会等名
      第68回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] 宿主と環境の変化に対する防御反応の調整を担うハダニエリシター・テトラニン2024

    • 著者名/発表者名
      遠藤有希子、田中未来、谷村香織、出崎能丈、上村卓矢、小澤理香、Maffei Massimo、新屋友規、Galis Ivan、有村源一郎
    • 学会等名
      第68回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] RALFペプチド/マレクチン型受容体キナーゼを介した 害虫抵抗性機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      出﨑 能丈, 吉岡 裕司, 林 海斗, 二宮 直也, 野澤 彰, 澤崎 達也, 新屋 友規, Galis Ivan, 有村 源一郎
    • 学会等名
      植物化学調節学会第58回大会
  • [学会発表] シロイヌナズナにおけるハスモンヨトウの活性型オリゴ糖エリシター受容機構モデル2023

    • 著者名/発表者名
      中田 みのり,橋爪 裕人,瀧口 麻由,黒川 友梨香,八須 匡和,出﨑 能丈,根本 圭一郎,野澤 彰,澤崎 達也,有村 源一郎
    • 学会等名
      植物化学調節学会第58回大会
  • [学会発表] ナミハダニ分泌エリシター「テトラニン」が担う植物防御応答の調整機構2023

    • 著者名/発表者名
      遠藤有希子,田中未来,谷村香織,出崎能丈,小澤理香, Maffei Massimo. E.,新屋友規, Galis Ivan,有村源一郎
    • 学会等名
      植物化学調節学会第58回大会

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公開日: 2024-12-25  

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