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2023 年度 実施状況報告書

カイコガ精子が卵細胞に侵入するために必要な受精嚢由来因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K05259
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

長岡 純治  京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 准教授 (00303933)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード生殖腺分泌タンパク質 / 妊性 / 精子 / カイコガ
研究実績の概要

カイコガ精子成熟誘発因子セリンプロテアーゼ・イニシャトリンの基質である精漿タンパク質BmSfp49, 53, 54, 62をコードするゲノム上タンデムに並ぶ遺伝子すべてのノックアウトホモアレル接合オス(KO)の有核精子は,メス体内交尾嚢から受精嚢へと移動することができず,結果,完全不妊となる。これら精漿タンパク質は,オス貯精嚢で合成・分泌され,射精後,交尾嚢で特異的な断片化を受け,その一部は受精嚢へ移動することを見出した。交尾嚢内KO有核精子ミトコンドリア膜電位状態に異常は観察されなかったが,受精嚢へ移動が開始する時間に,頭部が細くなる奇形を表して,死細胞となっていた。同時に,この時の交尾嚢内一酸化窒素濃度は野生型に比べて高い傾向にあった。KO完全不妊原因となる有核精子特異的な受精嚢移動阻害は,交尾嚢内での生理異常による有核精子の奇形や短寿命が原因であり,受精嚢およびその附属線の影響を受けていないものと推定された。

受精嚢およびその附属線を取り出して電気泳動で確認することで,再現性良く器官を取り出すことが出来るようになった。また,器官が小さいのでRNAseq解析に用いるRNA調製には,工夫がいることが判った。

交尾後3時間を経た交尾嚢から取り出した精液と精子をリンガー液で希釈して粘度を下げたものを,ガラスキャピラリーを用いて未交尾メスに導入することで,通常交尾のものと同様な数の受精卵が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の期待とは異なる成果となり,本研究が目指す目的とは異なる,オス精液タンパク質の機能を理解する成果が得られた。一見すると本研究の本来目的を解決していないので,進展がないものとなる。しかし,同時に,本研究を進めるのに必要な実験条件の検討とカイコガ系統の導入維持は完了した。よって,本研究テーマは順調に推敲できるものと判断する。

今後の研究の推進方策

1.予備実験に基づき,メス生殖器官を交尾嚢,受精嚢,附属線,輸管に分離して,RNAseqを行なう。
2.器官が小さいために二次元電気泳動によっての分離が難しいことが明らかとなってきたので,まず,一次元電気泳動と感度の高い染色法を用いて,メス生殖腺特異的なタンパク質の種類と精子成熟の伴う変化とRNAseqデータを利用したカタログ化を行なう。
3.受精嚢から精子を回収して,これを未交尾メスに導入することで受精卵が得られるかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

外部委託を予定していた解析および作業費が急激に高騰により,次年度に行なっても研究の遅れは生じないモノと判断して,年内に行なうことを取りやめ,次年度へその予算を繰り越した。決して,研究進展に遅れが生じることがないように,委託代金が安くなる時期と交渉を行ない目的を達成させる。

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公開日: 2024-12-25  

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