| 研究課題/領域番号 |
23K05276
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
青木 智佐 九州大学, 農学研究院, 教授 (20264103)
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| 研究分担者 |
和佐野 直也 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (00469850)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| キーワード | アゲハチョウ科 / スジグロシロチョウ / ヒメマダラエダシャク / Nosema sp. / Vavraia sp. / Vairimorpha sp. / Endoreticulatus sp. / 種多様性 |
| 研究実績の概要 |
本年度はまず、主に福岡県および佐賀県で採集したアゲハチョウ科鱗翅目昆虫6種について微胞子虫感染調査を進めた結果、Papilio属のナミアゲハでは23.1%、キアゲハでは71.4%と、高い感染率が示された。分離した微胞子虫株のSSU rRNA遺伝子配列を決定したところ、それらはすべて系統学的にNosema属クラスターに含まれ、相互に近縁であった。また興味深いことに、Graphium属のアオスジアゲハからの微胞子虫分離株のSSU rRNA遺伝子配列は、シオカラトンボ由来のVavraia sp. FOA-2014-12株(中村ら, 2021)のそれと完全に一致した。本微胞子虫胞子をカイコ2齢幼虫に経口接種したところ、絹糸腺後部およびマルピーギ管が主要な感染部位となり、本属に特徴的な形態の胞子形成を認めた。 次に、群馬県で採集した鱗翅目昆虫における微胞子虫感染について調査した結果、5科7種に微胞子虫感染個体が見出された。そのうち、スジグロシロチョウ由来微胞子虫株SSU rRNA遺伝子配列は、Vairimorpha sp. M11株のそれと99.3%の相同性を示した。一方、マイマイガ由来微胞子虫株の同遺伝子配列は、カイコの母蛾検査で分離されたEndoreticulatus sp. BM-2018-2株(Imura et al., 2020)のものと完全に一致した。さらに、ヒメマダラエダシャク由来微胞子虫の種多様性は高く、Nosema sp.、V. ceranae、V. austropotamobii近縁種の感染が確認された。 以上の結果から、微胞子虫は野外に生息する鱗翅目昆虫を幅広く利用していること、宿主によっては非常に高い感染率を示し、保有する微胞子虫も多様であることが示された。また、鱗翅目昆虫だけでなく、同所的に生息する目を越えた昆虫宿主間での交叉感染(保毒)の可能性も示唆された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の3項目のうち、①野外鱗翅目昆虫からの微胞子虫の分離、および②分離した微胞子虫の同定については、昨年度に引き続いてさらに多くの微胞子虫株を分離し同定を進めることができた。また、③鱗翅目昆虫における微胞子虫の交叉感染試験については、代表的なモデル鱗翅目昆虫であるカイコへの感染性および病徴とともに、それぞれの分離宿主昆虫科・属内での交叉感染性についても検討を進めている。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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| 今後の研究の推進方策 |
これまでに分離・同定した微胞子虫株を供試して、各種鱗翅目幼虫に経口接種し、自然宿主昆虫での微胞子虫の病原力と非自然宿主昆虫でのその変異を明らかにする。また、経卵巣伝達による垂直伝播についても調査し、微胞子虫感染の維持・推移を明らかにする。 得られたすべての結果をもとに総合考察を行い、野外鱗翅目昆虫個体群における微胞子虫の種多様性とともに、宿主-微胞子虫の関係性、そして微胞子虫が非自然宿主の鱗翅目昆虫の種多様性に及ぼす影響を評価する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度、国際学会(開催地:オーストリア)での成果発表を計画し、その旅費として計上する予定であったが、業務多忙のため参加を見送ったことと、学内共同利用機器の利用を計画していたが、すべて所属研究室等の機器の利用で対応できたことにより、それらの費用が未使用額として生じた。次年度、同項目(旅費、学内機器利用料)をはじめ、受託解析費、論文投稿関連費用に充てる予定である。
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