研究課題/領域番号 |
23K05277
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
北西 滋 大分大学, 理工学部, 准教授 (90552456)
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研究分担者 |
山本 俊昭 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (30409255)
野村 幸司 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター水産研究所, 主任研究員 (80827600)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 遺伝的構造 / 生活史多型 / 移動分散 / マイクロサテライトDNA |
研究実績の概要 |
本研究の対象種であるサクラマスには、河川で一生を過ごす河川残留型と、降海し大きく成長した後に河川に回帰する降海型の2つの生活史があり、高緯度地域ほど降海型の割合が増加する。本研究では、生活史分化パターンの異なる複数地域において個体群の遺伝的構造の解析・比較を行うことにより、生活史がサクラマスの遺伝的構造に与える影響を明らかにすることを目的とする。 2023年度は、国内5地域(北海道3地域、秋田県、富山県)においてサクラマスのサンプリングと分子生物学実験(マイクロサテライトDNAの多型解析)を実施した。サンプリングでは地域あたり5-7河川を選定し、それぞれの河川において十分な数のサンプル(50個体以上/河川)を集めることができた。分子生物学実験では、これまでに富山県サンプルについて解析を終え、個体群の遺伝的構造と種苗放流に伴う遺伝的攪乱などを明らかにした。また、富山県では漁業協同組合などとの研究ネットワークの確立および本研究への協力体制を築けたことから、支流間・支流内という局所スケールでの調査を展開することが可能となった。そのため、神通川水系内を主な調査対象とする局所スケールでの遺伝的構造解析も実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とする全ての地域において、対象河川の選定および野外でのサクラマスのサンプリングを予定通り実施できた。また、各地域の水産試験場や漁業協同組合などと研究協力体制を構築することができた。これらの成果は、今後の研究展開において重要である。一部地域のサンプルについて分子生物学実験に若干の遅れが生じているものの、それ以外については順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度採集済みのサンプルを対象に分子生物学実験を進める。また、各地域においてサクラマスのサンプリングを実施する。特に、富山県においては、局所スケールでの遺伝的構造解析を実施し、支流単位での移動分散などを推定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分子生物学実験用試薬の一部をキャンペーン価格で購入することができこと、およびフラグメント解析を外注したことによりフラグメント解析用試薬が不要となったことから、計上時よりも物品費を抑えることができた。また、機器のメンテナンスにより令和5年度に実施予定のフラグメント解析の一部を次年度に実施することとしたため、使用額が当初計画よりも少なくなった。これらの繰越額については、令和6年度予算と合算し物品費およびその他経費として執行する。また、令和6年度は富山県での調査が増えることから、繰越額の一部は旅費として執行する。
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