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2023 年度 実施状況報告書

ウルシコンテナ育苗時および植栽初期成長におよぼす施肥の影響に関する生理生態的検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K05297
研究機関岩手大学

研究代表者

白旗 学  岩手大学, 農学部, 助教 (00235756)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワードウルシコンテナ苗育苗 / 施肥量 / 肥効期間 / 植栽後の初期成長 / 冬季ストレスの保護効果 / ウルシ肥大成長の季節変化
研究実績の概要

令和5年度は,1.当年生ウルシコンテナ苗の成長におよぼす施肥の影響について,施肥量に加え肥効期間の影響,2.植栽地内で成長差が生じているウルシ植栽地(植栽後4年)でこれまでの成長量におよぼす土壌条件と周囲林分の影響,3.ウルシ成木の肥大成長の季節変化パターン,について検討した。
1.肥効期間の異なる2種類(100日,180日)の被覆肥料をそれぞれ4段階(培土1Lあたり5g,10g,15g,20g)計8処理区(各区60個体)を設定した。その結果,20g/Lの施肥量は過剰の可能性があること,100日タイプの肥効がきれる9月初旬以前の肥料効果が高いことが示唆された。また,当年生苗木の成長においては,施肥量の影響は成長量よりも非同化器官の窒素含有率に強くあらわれる傾向がみられた。
2.植栽後4年間の初期成長に対して,土壌が固い,乾燥しやすいなどの局所的な負の影響はあったが,植栽地全体では南側にあるスギ人工林に近い部分で成長がよい個体が多かった。季節ごとの太陽高度から樹林帯がつくる日陰範囲の季節変化をシミュレーションしたところ,人工林から正の影響を受ける範囲は,成長休止期である秋から春,特に冬の時期の日陰部分と一致しており,この時期における気温の日格差ストレスの緩和や寒風害に対する保護効果が影響しているのではないかと推察された。
3.自記式デンドロメーターを用いウルシ掻き林分においてウルシ成木の肥大成長の季節変化と気象要因を調べた。幹周囲長は6月下旬頃から大きく増加するが,その後7月下旬頃から徐々に増加率が低下,9月以降は増加がほぼ停止しており,これらは初辺,盛辺,末辺の時期と一致していた。各時期の漆液収量や品質(水分量など)は木部肥大成長と密接な関連性があると推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当年生ウルシコンテナ苗の成長におよぼす施肥の影響について,肥効期間の違いも考慮した栽培実験をおこない,当年成長および窒素器官配分に関してほぼ当初の計画通りに進めることができた。また,次年度の2年生苗木に関する研究に必要な苗木数を十分確保できた。光合成能力については,機器の不具合により直接測定することができず,葉の窒素量,クロロフィル量から推測したが,次年度再試験をおこなう予定である。また,今年度の記録的な夏季の猛暑によって,育成に一部影響があった可能性があるが,こちらも再試験の中で検証する予定である。植栽後の立地環境と成長について,適当な試験地が確保できたため,先行して一部実施した。また,ウルシの肥大成長の季節性の把握のため,成木の肥大成長の季節変化について検討をおこなうことができた。以上から標記の自己評価とした。

今後の研究の推進方策

令和5年度にえられた結果から,肥料は100日肥効タイプを用いることとする。次年度以降も研究実施計画書に基づいて研究を進めるが,当年生コンテナ苗について再試験をおこない,光合成能力の直接測定を実施し,同化能力に対する施肥の影響を明らかにする。また,植栽後の苗木成長試験について,育成した苗木の一部を山出しし,当初計画していた令和7年からの2年生苗木をもちいた植栽試験に加え,1年生苗木の植栽の可能性をあらたに検討する。

次年度使用額が生じた理由

物品費の端数のため16円の次年度使用額が生じたが,少額のため次年度に繰り越して使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 自記式デンドロメーターによる漆掻き個体木幹周囲長の日変化と季節変化2024

    • 著者名/発表者名
      白旗 学,種市侑李
    • 学会等名
      第135回日本森林学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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