研究課題/領域番号 |
23K05315
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
片畑 伸一郎 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (80648395)
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研究分担者 |
山田 晋也 静岡県農林技術研究所, 静岡県農林技術研究所, 上席研究員 (20502579)
福田 拓実 静岡県農林技術研究所, 静岡県農林技術研究所, 主任研究員 (80852540)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 花成 / 水ストレス / ヒノキ |
研究実績の概要 |
我々はヒノキの苗木を対象に、水ストレスと花成の関係に着目し研究を進めてきた。その中で、ヒノキの花成誘導を可能とする水ストレスの条件(程度と期間)やこれに関連するヒノキの遺伝子を明らかにした。しかし、水ストレスによる花成誘導には苗木の個体サイズやストレス履歴などが影響する可能性がある。そのため、ヒノキの水ストレス誘導花成の再現性の有無を確かめる必要がある。そこで、本研究では、ヒノキの水ストレス誘導花成の再現性を確認するとともに、水ストレス誘導花成のメカニズムを考察することを目的に研究を進めた。 隔年で水ストレス処理をした結果、2回目の水ストレス処理によるヒノキの着花量(雄花、雌花とも)は大幅に減少することが明らかになった。一方、花成メカニズムに目を向けると、着花量の多い年では、水ストレスによってストレス応答遺伝子であるWRKY遺伝子の発現が増加し、その後、花成遺伝子であるLFY遺伝子の発現が増加しいていた。しかし、着花量が減少した年(2回目のストレス処理)においては、これらの遺伝子発現の経時変化は不明瞭であった。また、LFY遺伝子の発現と着花量の関係を解析すると、その回帰式の傾きは大きく異なり、ストレス処理2回目では大きく低下していた。これは、LFY遺伝子の下流にある遺伝子の発現量が大きく異なることを示していると思われる。さらに、これらの結果はハードニング効果が生じていることを示しているのかもしれない。一度目のストレス処理により、ヒノキは水ストレス耐性を獲得したため、同程度の水ストレスでは、花成誘導の効果が低下したのかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の水ストレスの履歴が水ストレス誘導花成に影響を及ぼす可能性があることを示唆することができた。
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今後の研究の推進方策 |
水ストレスの履歴がヒノキの花成に及ぼす影響についての再現性を確認する。 水ストレスとジベレリンの複合要因と花成の関係について明らかにする。 ヒノキの花成に関連する遺伝子を網羅的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
苗木の成長を鑑み、次年度以降にジベレリン処理実験を変更したので繰越金が発生した。研究期間中にはジベレリン処理実験を実施する予定である。
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