研究実績の概要 |
文献調査(愛媛県立図書館他)・聞き取り調査(徳島森林づくり推進機構2023/8/17)を行った。 研究の問い1)の愛媛県林業公社の廃止理由については愛媛県議会議事録等をレビューしたが、有力な手がかりは得られなかった。ただ、当時の知事(白石氏)がトップダウン型の県政を行ったことは明らかとなったが、公社廃止との因果関係は判然としない。 研究の問い2)のなぜ事業を拡大する公社が存在するのかについては徳島公社を事例に調査を行った。徳島県の林業の概要については、森林所有は国有林が少なく、民有林が90%、そのうち私有林が80%を占めている。県土面積414,698ha(全国36位)、うち森林面積314,829haで森林率76%、人工林率は国民合わせて60%(人工林面積414,679ha)に及ぶ。県内の素材生産量は41.7万m3(2022年度)で全国10位、底であった17.7万m3(2005年度)の2倍以上に伸びている。 徳島県林業公社(現森づくり推進機構)の概要については、2002年段階で公社契約面積7,289ha(全国28/41位)、契約件数959件(30/41位)であった。現在は6800haであり、全国の公社の中でも小規模である。現推進機構の事業の特徴はa.公社有林を所有、(機構の森林経営面積2022年3月末現在で1万3137㌶のうち機構林が428㌶)b.素材生産が平成25年は5000m3ほどであったが、現在は5万立米にまで増加、c.企業の森づくり活動に積極的に参画、であった。 徳島公社がなぜ存続し、事業のウイングを広げられたのかについては、首長(知事)・副知事の森林・林業に対する姿勢、2004(平成16)年日亜化学からの10億円寄付、林野庁等による過去の公社支援政策に対する公社自身による能動的対応という仮説が得られた。
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