研究課題/領域番号 |
23K05320
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
飯沼 賢輝 沖縄科学技術大学院大学, 機器分析セクション, リサーチサポートスペシャリスト (60834588)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 森林 / 揮発性化合物 / 二次有機エアロゾル |
研究実績の概要 |
大気中には大量の生物由来揮発性化合物(BVOC)が排出され、それらが気象現象や大気酸化プロセスを経て濃度が動的に刻々と変化する。BVOCの排出多様性はその植物がおかれている環境や受けているストレスに依存すると考えられているが、それが大気化学プロセスや気候変動にどの様な影響を与えるのかは明らかではない。特に亜熱帯・熱帯地域におけるBVOC排出と大気酸化プロセスによる二次有機エアロゾル(SOA)生成は未解明な点が多く、長期的な観測が不可欠である。 そこで亜熱帯域に存在する恩納村谷茶地区の森林内で2023年7月中旬よりBVOCとSOAサンプル採取を週に2回の頻度で行っている。採取したBVOCはGCxGC/MSで、SOAサンプルはLC-IMS-TOFMSで分析を行っている。BVOC分析では多くのモノテルペンとセスキテルペンが検出され、SOA分析では夏は主にCHOとCHOS化合物、冬季は加えてCHONとCHONS化合物が検出されている。後者の化合物は気温によるものと、越境大気の影響が大きいと思われる。その他季節的な観測データの解析により森林への外部からの攪乱がBVOCとSOAの濃度とSOAの酸化度に大きく影響があることが明らかになった。また越境大気がサンプル採取地でのSOA濃度に影響があることが明らかになりつつある。 2024年度も引き続き週2回のサンプル採取と分析を継続する。得られたデータの解析を行い、学会、論文発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書通りにサンプル採取と分析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度と同じようにサンプル採取と分析を行っていく。2024年7月に1年分のデータが揃うため、季節的な気象データ等を加味してより深い解析を行っていく。2023年度に得られたデータを基にした学会発表、論文発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が488円と少額であり次年度の消耗品の予算と加算した方が有効に使用できるため。
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