研究課題/領域番号 |
23K05324
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
安藤 裕萌 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (20824410)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 樹木病原菌 / 侵入病害 / ゲノム解析 / 遺伝的多様性 / スギ |
研究実績の概要 |
スギ苗木の重要病害である赤枯病の病原菌Passalora sequoiaeは、1900年代初頭に北米から日本に持ち込まれた侵入樹木病原菌と考えられている。日本では、これまでに沖縄県を除く46都道府県で本病の被害が報告されているが、遺伝的にどれほど多様な集団が侵入し、国内に分布しているかは不明である。本年度は、日本国内における本菌の遺伝的多様性を把握するため、1950年以降に国内の21都道県で採取された保存菌株28株を取り寄せ、rDNAのITS領域およびLSU領域・translation elongation factor 1-alpha(tef-1)遺伝子・actin遺伝子・RNA polymerase II second largest subunit(rpb2)遺伝子の部分塩基配列を解読した。その結果、 rDNAのITS領域・LSU領域、tef-1遺伝子の塩基配列は各菌株間で完全に一致したものの、actin遺伝子およびrpb2遺伝子で僅かな変異があり、国内に少なくとも2系統が分布することが示された。この結果から、日本に分布する本病原菌の遺伝的多様性は非常に低いと予想され、本病原菌が侵入種である可能性が高いと考えられた。 また、これら2系統からそれぞれ1菌株を選出し、ドラフトゲノムを解読した。これらのゲノム情報を基にSSRマーカーの設計を進めていく。 さらに、国内3県4地点で採取した試料から、合計354菌株の新規の分離菌株を確立した。これらの菌株の集団遺伝解析を進めていくことで、局所的な集団内における遺伝的な多様性も把握していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当所の計画通り、複数遺伝子の塩基配列に基づいて本病源菌の国内における遺伝的多様性を把握するとともに、SSRマーカーの設計を進めるためのドラフトゲノムを解読した。加えて、局所的な集団における遺伝的多様性を把握するための新規分離菌株も確立することができた。これらの成果を基に次年度も計画に沿って遂行していけることから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度得られたドラフトゲノム情報を基に集団遺伝解析に用いるSSRマーカーの開発を行い、本年度に供試した保存菌株と新規分離菌株の集団遺伝解析を進めていく。また、新規分離菌株の収集を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査地において本病の被害が発生しなかったため国内調査費が未使用となった。加えて、ドラフトゲノム解析の費用が予定よりも大幅に抑えられたため。 次年度の試料採取の旅費に充てるとともに、集団遺伝解析に用いるサンプル数が当初の予定よりも増加しそうなため試薬の購入費に充てる。
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