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2023 年度 実施状況報告書

単分散性リグニンモデル高分子を基盤としたリグニン分子成長反応機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K05327
研究機関北海道大学

研究代表者

重冨 顕吾  北海道大学, 農学研究院, 講師 (20547202)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードリグニン / 成長機構 / 5-5'型結合 / ジベンゾジオキソシン
研究実績の概要

本年度はリグニン成長機構の解明のため、単分散のβ-O-4型モデルポリマー前駆体の大量調製と分画を行った。有機合成したモノマーを重合条件に供したところ、数平均分子量1.6 x10^3、重量平均分子量=5.1 x10^3、PDI (分散度) 3.2程度の混合物を得た。フラクションコレクターとサイズ排除クロマトグラフを用いて分画を行ったところ、分子量の異なる画分を大量に取得することに成功した。それぞれの画分の重合度はおよそ2-32であり、PDIは1.1-1.4であった。また、リグニンの5-5'型結合の形成過程を解明することを目的に、標品となるコニフェリルアルコール5-5'型2量体の合成を行った。確立した合成法はジバニリンを出発物質としたもので、10グラムスケールへのアップスケールも可能であった。調製した2量体は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を用いた脱水素重合においてコニフェリルアルコールと同程度の反応効率で重合し、生成する脱水素重合物の結合組成に大きく影響を与えることが明らかとなった。さらに、フェルラ酸重水素化物を用いた反応によって、5-5'型2量体の2箇所のβ位はともに結合形成に寄与することが確認された。これは5-5'型2量体がリグニン中の分岐に寄与する可能性を示すものである。さらに、この2量体を出発物質としてジベンゾジオキソシン型3量体の合成も達成した。この3量体は今後さらに分子成長機構の解明を行う上で重要な基質となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リグニンの成長機構解明に向けて、必要としていた各基質の合成を初年度のうちに達成できたため。

今後の研究の推進方策

調整したβ-O-4型モデルポリマー前駆体の分子量を決定するとともに、還元処理してβ-O-4型モデルポリマーとする。生成したポリマーの構造決定を行った後にそれらを基質とした脱水素重合反応を行う。得られた生成物の解析を行うことで分子伸長の評価を行う。また、調製したジベンゾジオキソシン3量体とフェルラ酸重水素化物を用いて、同様に脱水素重合反応による分子伸長を観察する。

次年度使用額が生じた理由

申請時に予定していたフラクションコレクターが高価格のため購入できず、要件を満たす下位機種を代わりに購入したこと、必要としていた重水素化試薬を本年度は使用せずに済んだことによる。次年度は重水素化試薬を多量に使用するため、持越し額はこれに充当される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 5-5'型コニフェリルアルコール2量体の合成とその脱水素重合における反応性2023

    • 著者名/発表者名
      重冨顕吾, 鈴木栞, 浦木康光
    • 学会等名
      第68回リグニン討論会

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公開日: 2024-12-25  

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