研究実績の概要 |
日本沿岸の、幼生の天然採苗を主体とした貝類養殖が行われている海域、及び現在は天然採苗を行っていないが今後の温暖化の進行により新たに養殖が可能になると見込まれる海域を対象に、酸性化と地球温暖化が貝類養殖に及ぼす複合影響への対策立案のための将来予測を行うために必要な数値モデルの構築を行った。本年度は、河川から沿岸域への淡水や有機物の流入過程を再現できるように、研究代表者らが開発した中解像度海洋物理・生物化学統合モデル(Fujii et al., 2021)の水平解像度を数百mに、時間解像度を数時間毎に、それぞれ高解像度化した(Bernardo et al., 2023)。開発した高時空間解像度モデルを、日本沿岸の酸性化・温暖化観測点のうち、貝類養殖が行われていて、かつ、観測データを利用可能な観測点での水温、塩分、溶存無機炭素濃度等の物理・生物化学パラメータの観測値を初期値・境界値・参照値として上記モデルを駆動した。そして、酸性化・温暖化指標の日周・季節変化のモデル結果が各観測点での観測値を現実的に再現するように、モデルに組み込まれている生物化学パラメータの較正を行い、モデルの再現性を検証した(Fujii et al., 2023)。
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