研究課題/領域番号 |
23K05370
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高谷 智裕 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (90304972)
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研究分担者 |
荒川 修 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40232037)
筒井 英人 長崎大学, 水産学部, 特任研究員 (00774390)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ウモレオウギガニ / スベスベマンジュウガニ / 毒化機構 / 麻痺性貝毒 / サキシトキシン / テトロドトキシン(TTX) |
研究実績の概要 |
1.有毒ガニの毒性と分布調査:石垣島吉原リーフにて有毒ガニであるウモレオウギガニおよびスベスベマンジュウガニを採捕し、組織別に毒性を調べたところ、吉原リーフ北西部採捕のウモレオウギガニのサキシトキシン群(STXs)の保有濃度は平均 609 nmol/gと高く、スベスベマンジュウガニでは429 nmol/gであった。一方、TTXの保有濃度は両種とも低く、ウモレオウギガニが0.13 nmol/g、スベスベマンジュウガニが0.08 nmol/gであった。リーフ中央部の個体ではほとんど毒性が見られず、1個体のみSTXsが5.2nmol/g(TTXは非保有)と低いレベルで毒の保有が確認された。リーフ南東部の個体はSTXsで平均 29 nmol/g、TTXが2.3 nmol/gと中央部の個体よりやや高いSTXsの保有が確認された。また、有毒ガニ2種の保有毒量について両者を比較したところ、大きな差は見られなかった。 2.有毒ガニの胃内容物の評価:石垣島吉原リーフで採捕したウモレオウギガニおよびスベスベマンジュウガニの胃内容物について評価を行った。まず、胃内容物の毒性についてHPLCで確認したところ、概ねカニ本体の毒性と関連するような毒性が見られた。胃内容物の毒性は最大で約300 nmol/gと高濃度で、毒成分としてSTXsに加え、ゴニオトキシン群(GTXs)も多く認められた。胃内容物の生物組成は、全体的にホヤの骨片が優占して確認された。骨片の形態から4種のホヤの存在が確認され、ホヤ種の組成は北西部と中央部で大きく異なっており、北西部の有毒カニ個体からは優占種とみられるホヤ(骨片)の存在が確認された。 3.周辺環境生物の毒性:カニ採集場所において周辺生物を採集し、その毒性を調べた。特にホヤ類を中心に採集を行ったが、有毒カニ類の胃内容物のホヤ骨片と一致する種のホヤは確認されなかった。また、採集したホヤ類から毒性も確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カニの調査はカニの分布及び毒性、胃内容物の毒性調査など、概ね順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
有毒カニの調査については、引き続き石垣島吉原リーフの3地域(北西部、中央部、南東部)について分布と毒性について調査するとともに胃内容物について遺伝子による種同定などにより評価を行う。 また、オウギガニ科カニの無毒種(カノコオウギガニなど)についても、同様に毒性と胃内容物の評価を行い、有毒種と比較する。 さらに、リーフ環境中から餌生物と推定されるホヤを含め、生物試料の採集を試みるとともに毒性の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、当初の計画ではカニの胃内容物につき、遺伝子の依頼分析を行う予定であったが、資料の調整が間に合わず次年度以降に延期したため。 2024年度 遺伝子依頼分析(255千円)
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