研究課題/領域番号 |
23K05381
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
笠井 久会 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (50399995)
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研究分担者 |
工藤 秀明 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (40289575)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ミズカビ病 / Saprolegnia |
研究実績の概要 |
開放的環境で実施される魚類増養殖において,原虫・寄生虫病および真菌病に有効な薬剤は乏しく対処が難しい。過去には駆虫剤としてホルマリンが広く用いられてきたが,2003年の薬事法改定により使用禁止となって以降,ホルマリン同様の広域スペクトル抗原虫・寄生虫・真菌薬の開発が切望されている。ホルマリン(有効成分ホルムアルデヒド)のようにアルデヒド基を有する化合物がその候補になり得ると考え,まずミズカビ病原因菌であるSaprolegnia属菌7株を対象に,モノアルデヒド(アセトアルデヒド,ペンタナール等)およびビスアルデヒド(グリオキサール,マロンジアルデヒド等)を用いた最小発育阻止濃度(MIC)測定試験を実施し,化学物質の構造と活性の相関について検討した。その結果,側鎖が小さい化合物が高い活性を示す傾向が認められた。また,供試したアルデヒド類より,ホルムアルデヒドよりも低濃度で殺菌効果を発揮する化合物を見出した。さらに,その殺菌効果は反応温度(10-20℃)の影響を受けないことを明らかにした。サケ科魚やコイ,アユ等の卵は,上記水温帯にて飼養するため,卵期のミズカビ病防除に本化合物が有効であることが考えられた。 サケ稚魚や卵に対する毒性の指標として,それらに対する半数致死濃度をプロビット法により求めた結果,当該の化合物はホルムアルデヒドよりも低値であること,卵は稚魚よりも高い耐性を有することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画のうち,in vitroで実施する試験はおおよそ終了した。次年度以降は卵や稚魚を用いた試験を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は予定通り進展しており,本研究で見出した化合物の作用機構と魚に対する影響を詳しく調べ,実用化を見据えた知見の集積を加速する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入時に見積もり額よりも低い金額で納入された消耗品があり,残額を次年度の消耗品の購入に充てることとした。
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