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2023 年度 実施状況報告書

海水育成サクラマスにおける卵形成過程とその内分泌系による制御基盤の理解

研究課題

研究課題/領域番号 23K05383
研究機関宮崎大学

研究代表者

内田 勝久  宮崎大学, 農学部, 教授 (50360508)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード魚類繁殖生理学 / 下垂体ホルモン / インスリン様成長因子 / 卵形成 / 卵細胞増殖 / サケマス海水養殖 / 性ステロイド / サクラマス
研究実績の概要

本研究では、海と山を繋ぐ循環型サクラマス養殖体制をモデル飼育実験系とし、海水育成期のサクラマスの卵細胞の増殖や初回成熟の発動、卵成長過程の進行を捉えるとともに、それら一連の繁殖生理現象に寄与する内分泌基盤を体系的に理解することを目的としている。
2023年度においては、サクラマスンの海水育成期間である12月中旬から翌年の4月中旬まで、毎月中旬にサンプリングを行った。また、海水移行後の短期的な卵巣応答を想定し、海水育成開始1週間後ならびに2週間後のサンプル採取を行った。各サンプリング時においては、卵巣を固定後、薄切組織標本を作製中で、現在、増殖細胞のマーカータンパク質とされるProliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)に対する抗体を用いて、卵巣組織における細胞の増殖を免疫組織学的手法により解析している。
一方、卵細胞増殖と3種のIGFs分子の機能連関を知るため、上記のサンプリング時に、血液、肝臓、卵巣、下垂体を採取した。また、サクラマスの肝臓組織から、IGF1のみならず、IGF2とIGF3の部分塩基配列を同定し、リアルタイムPCR法による定量解析系を確立した。現在、3種のIGF遺伝子の組織発現分布を解析している。
サクラマス淡水育成期間である4月中旬から10月中旬まで、毎月のサンプリングを行った。具体的には、卵巣組織の形態観察を継続し、最終成熟期には、採卵数や卵径を実測した。その結果、海水飼育個体は淡水飼育魚に比べて、約6倍の採卵数を示し、卵径についても1.3倍大きいことが示された。現在、卵成長に寄与する既知の生殖内分泌因子の動態解析として、下垂体GTHs遺伝子、その下流にある因子として性ステロイド(E2)量を、卵成長の生理学的指標として肝臓のVtg遺伝子の解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

サケマス類を題材にした研究活動においては、一年のうちでサンプリングを繰り返し行うことは困難である。それ故、海水養殖期のサクラマスならびに淡水養殖サクラマスを活用し、毎月のサンプリングを継続できたことは、研究課題を順調に進められているひとつの要因と考えている。
また、卵巣組織や成熟に寄与するホルモン、生理学的因子の解析を想定したサンプリングを実施し、3種のIGF遺伝子の同定と遺伝子定量系の確立、卵巣の組織学的解析に着手していることも、本研究が順調に進展していると判断できる点である。
一方、2023年度は、海水飼育後の3種のIGF分子に焦点を当てたため、海水育成期のサクラマスにおいて、3種のIGFs以外の内分泌因子やホルモンに応答する遺伝子群を想定した卵巣組織の網羅的な遺伝子探索については、サンプリングをした以外は、解析を進められていない。この点については、2024年度以降に解析を進めたいと考えている。

今後の研究の推進方策

2023年度に採取したサンプルを用いて、各種のホルモンや生理学的因子の発現動態の解析を終えたい。また、海水飼育期の卵巣組織の動態を明らかにし、3種のIGF分子の発現動態との機能的相関を明らかにしたいと考えている。
また、海水育成期のサクラマスにおいて、3種のIGFs以外の内分泌因子やホルモンに応答する遺伝子群を想定した卵巣組織の網羅的な遺伝子探索を進めたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

2023年度内に遺伝子の網羅的解析(委託)に着手できず、次年度以降での解析経費として生じたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 宮崎県産ヤマメにおける全雌3倍体種苗の作出とその生理学的特性の評価2023

    • 著者名/発表者名
      山本翔海、桒髙由夏 、上野 賢 、宮西 弘 、内田勝久
    • 学会等名
      第47回日本比較内分泌学会およびシンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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