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2023 年度 実施状況報告書

ヒト腸内細菌による海藻多糖β-1,3-キシランの資化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K05393
研究機関三重大学

研究代表者

岡崎 文美  三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80545228)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードβ-1,3-キシラナーゼ / β-1,3-キシラン / 腸内細菌 / 海藻
研究実績の概要

本研究は、ヒト腸内細菌による海藻多糖β-1,3-キシランの資化機構を解明することを目的としている。海苔の原料である紅藻類の細胞壁を構成する主要な多糖類をヒト腸内細菌が全て利用できることが初めて明らかとなり、海藻食とヒトの健康における新たな知見となることが期待できる。また、本研究の成果から未利用海藻資源中のβ-1,3-キシランを新たなプロバイオティクス素材として利用するなどの応用展開も期待できる。
2023年度は、ヒト腸内細菌ゲノム情報から見出した推定β-1,3-キシラン資化遺伝子クラスターに含まれる各遺伝子がコードするタンパク質の機能解析に取り組んだ。Bacteroides 属細菌由来の2種類の分泌型β-1,3-キシラナーゼおよび菌体内β-1,3-キシロシダーゼについて、酵素化学的諸性質を明らかにし、既報の海洋性細菌との比較を行った。まず各酵素のβ-1,3-キシランに対する作用性を明らかにした。次いで、3酵素を同時にβ-1,3-キシランに作用させ、その分解様式を解析した。その結果、分泌型β-1,3-キシラナーゼおよび菌体内β-1,3-キシロシダーゼは共に既報の海洋性細菌と比較して高い耐熱性と触媒効率を有することが明らかになった。2種類の分泌型β-1,3-キシラナーゼが菌体外でβ-1,3-キシランを2糖であるβ-1,3-キシロビオースまで分解した後に、菌体内β-1,3-キシロシダーゼが単糖であるキシロースまで分解し、資化していることが明らかとなった。
これらの結果は、ヒト腸内細菌が海藻特有の多糖であるβ-1,3-キシランの資化能力を有していることを示す初めての知見である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の主要な目標としたβ-1,3-キシラン資化遺伝子クラスターに含まれる遺伝子がコードする酵素のうち、2種類の分泌型β-1,3-キシラナーゼおよび菌体内β-1,3-キシロシダーゼについて、大腸菌タンパク質発現系により可溶性タンパク質の生産に成功した。それらタンパク質は、想定していた通りβ-1,3-キシランに対する加水分解活性を示した。

今後の研究の推進方策

2023年度の研究成果から、2種類の分泌型β-1,3-キシラナーゼが菌体外でβ-1,3-キシランを2糖であるβ-1,3-キシロビオースまで分解した後に、菌体内β-1,3-キシロシダーゼが単糖であるキシロースまで分解し、資化していることが明らかとなった。その中で、2種類の分泌型β-1,3-キシラナーゼが異なる分解様式を示すことが新たに明らかとなった。これまでに報告が無い知見であったため、次年度以降はこれら2種類の酵素の立体構造比較を行い、分解様式の差を生じる構造的要因を解析する。また、当初研究経過に従って、β-1,3-キシランを用いたBacteroides属細菌の培養を行い、その資化能力を解析する。

次年度使用額が生じた理由

当初導入を計画していた備品が輸入手配等により次年度以降の導入となったため、次年度使用額が生じた。次年度以降に導入し、計画通りに研究を進める。

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公開日: 2024-12-25  

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