研究課題/領域番号 |
23K05456
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
唐崎 卓也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (10370529)
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研究分担者 |
芦田 敏文 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (70414448)
渡邉 真由美 (後藤真由美) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (50649423)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / コミュニティ・ビジネス / アグリゲイト / 発電 / 地域主体 / 地域新電力 |
研究実績の概要 |
本研究は、農山村で地域主体型のコミュニティ・ビジネスによる再生可能エネルギー事業を創出するため、事業主体の人材、組織体制、機能などに着目し、事業化に必要な要件を解明することを目的とする。令和5年度には、国内の地域主体による再生可能エネルギーの事業化事例の収集と、それらの中から特徴的事例の抽出と現地調査を行った。 まず、国内の再生可能エネルギーの事業化事例の収集と併せて、地域主体の概念について整理を行った。国内では、ドイツやオーストリアにある自治体出資と民間運営によってエネルギー事業などの公共サービスを担うシュタットベルケに相当するような公社はみられないが、自治体が出資または協定を結ぶなど、様々な組織形態で運営される地域新電力が約80存在する。また、地域組織や市民が出資するなど、事業化や運営に関与する市民・地域共同発電所が、既往調査によって約800箇所あるとされる。それらに加え、既往研究、新聞記事等による検索をもとに、事業化事例の収集を行った。国内における地域主体の概念として、自治体による出資または協定がある、事業主体が地域組織である、地元企業や住民が出資する、などの要件を取り上げた。 それらの中から地域主体型の先進事例として、岐阜県郡上市の住民出資による小水力発電、愛知県豊田市の地域新電力、埼玉県秩父市の地域組織による小水力発電等に関する現地調査を行った。事例調査から、事業主体の組織化のプロセス、予算運営、人材確保、組織体制などの視点から分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の地域主体型による再生可能エネルギー事業の事例収集は、概ね順調に行っている。また、地域住民による出資と組織運営がなされるなど、コミュニティ・ビジネスとしての特徴が明確な事例の現地調査に着手したことから、研究は概ね順調に進展している。しかし、再エネ事業の新たな動向として注目されるアグリゲイト機能、すなわち複数のエネルギー源を束ねた供給とともに、地域内のエネルギー需要を集約し、需要と供給のバランスを調整する機能をもった再エネ事業については、国内の数事例を把握したにとどまり、令和6年度に現地調査に取り組むこととした。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度から実施している国内の地域主体型による再生可能エネルギー事業の事例収集を継続し、事業主体、組織体制などの視点から事例を整理して、データベース化を行う。令和5年度は主として電力事業を対象に事例収集を行ったが、バイオマス等を活用した熱利用に関する事業も含めた事例収集を行う。また、地域主体型の再エネ事業に関する様々な特徴をもった事例に関する現地調査を行う。次年度までを含めて計10地区程度の調査を想定する。なかでも、VPP事業の実施事例として、鳥取県米子市、沖縄県宮古島などの事例を候補に現地調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
事例収集にあたっての既存データベース活用は、複数の民間データベースサービスとの契約を検討したが、令和5年度内には契約に至らなかった。また、再エネのアグリゲイト機能をもったVPP(仮想発電所)事業を実施する国内事例の現地調査については、令和5年度内に調査対象地との調整がつかず、令和6年度に市民・地域共同発電所に関する現地調査と並行し、実施することとした。
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