研究課題/領域番号 |
23K05513
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
石田 藍子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (30414684)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ブタ / マイオメーカー / マイオミキサー / 骨格筋 / ニワトリ / C2C12細胞 |
研究実績の概要 |
ブタ胎仔の発育およびニワトリ胚の発生における、骨格筋のマイオメーカー(MymK)およびマイオミキサー(MymX)の発現をMyogeninやMyoDなどの既知の筋形成制御因子(MRFs)の発現と合わせて経時的に測定し発現様式を明らかにする(2023年~2025年)。本年度は、孵卵後10~18日のニワトリ胚(胚重量1.72g~21.7g)から2日ごとに大腿部骨格筋を採取した。胚発生時の骨格筋におけるMymKおよびMymX発現様式を明らかにするため、RNAを抽出後cDNA合成し、リアルタイムPCR法でMRFsとともにMymKおよびMymXのmRNA発現量を測定した(n=8)。その結果、ニワトリ胚の筋衛星細胞のマーカーであるPax7は胚齢10日が最も発現量が高く胚齢18日まで段階的に下がり、骨格筋形成の指標となるMYH1は胚齢10日が最も発現量が低く、胚齢18日まで段階的にあがった。筋形成において細胞融合時に重要な膜タンパク質MymKおよびMymXmmRNA発現量は、胚齢12日で最も発現量が高く、胚齢18日まで段階的に下がった。ニワトリ生体およびブタの初代骨格筋培養細胞と比較するため、胎齢13日のニワトリ胚から、骨格筋を採取し、初代培養細胞として、培養1日後から7日後まで1日ごとに、採材した。現在、MRFsとともにMymKおよびMymXのmRNA発現様式の解析を進めている。(n=4)。 並行して、ブタにおいて、筋形成が活発な胎仔期4時点(45日、60日、75日、90日胎齢)、および出生後4時点(0日、7日、14日、28日齢)に骨格筋の採取を進めており、胎仔期の系では1反復分の採材を実施、出生後の系では、同腹子兄弟の経時的な採材を2反復実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、ニワトリ胚におけるMymKおよびMymXの発現様式についての実験を行い、分析、データ解析が終了した。また、C2C12細胞およびニワトリ骨格筋培養細胞を用いた実験も実施し、現在分析中であり、計画通りである。ブタ生体のサンプルは、同腹子と胎仔を対照とするために、収集に時間がかかるが、予定した数を初年度に採取できている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きブタの胎仔および出生後に経時的な採材の反復を重ねる。さらに、ブタ骨格筋初代培養細胞の分化不全時におけるMymKおよびMymXの発現様式を明らかにするとともに、動物種間で比較しブタの発現様式を明らかにするため、筋管の形成が不全なブタ骨格筋初代培養細胞と、筋管の形成が盛んなニワトリ骨格筋初代培養細胞、および骨格筋研究で最もよく用いられるマウス由来C2C12株筋細胞を供試し、筋芽細胞の増殖から分化(筋管の形成および肥大)におけるMymK、MymXおよびMRFs発現量の変化を明らかにするとともにWnt/β-カテニン経路についても分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
採材するブタの確保に期間がかかるため、ブタ生体に関する部分の分析を始められなかった。次年度以降は、サンプルの確保が進むため、分析が加速的に進むと考えられるため、予算の使用が進むと考えられる。
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