研究課題/領域番号 |
23K05532
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 洋介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (50912549)
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研究分担者 |
中川 貴之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40447363)
加藤 大貴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任講師 (60843216)
酒居 幸生 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 講師 (90844192)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 犬腫瘍 / HER2 |
研究実績の概要 |
本研究では、HER2を過剰発現する犬膀胱癌に対する抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)の抗腫瘍効果について前臨床研究にて明らかにし、臨床例における検証を目指す。 今年度は犬膀胱癌細胞株4株(Nene, TCCUB, Love, Sora)に対する抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)添加時の増殖アッセイ(WST8アッセイ)を行い、全ての細胞株において、抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)の添加により増殖抑制効果が得られることを明らかにした。全ての細胞株において、最低濃度5ug/ml添加により有意な増殖抑制を認め、10,15,20ug/mlと添加量を増やすことで、濃度依存的な増殖抑制効果が得られることを明らかにした。さらにそれら抗腫瘍効果の機序について、犬膀胱癌細胞株に抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)添加後の細胞検体を用いて、アネキシンVおよびPIを用いたアポトーシスアッセイ、PIを用いた細胞周期アッセイをFACS法にて実施した。その結果、抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)の添加により、アネキシンVおよびPI陽性細胞の増加を確認し、アポトーシス誘導が生じていることを明らかにした。以上より、犬膀胱癌細胞株内に抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)が取り込まれ、チューブリン阻害薬であるDM1によりアポトーシスが誘導されたことが推測され、in vitroにおける犬膀胱癌に対する抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)の抗腫瘍効果が実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
犬膀胱癌細胞株4株に対する抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)添加時の増殖アッセイにて全ての細胞株において、抗HER2抗体薬物複合体の添加により増殖抑制効果が得られることを明らかにできたため。
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今後の研究の推進方策 |
犬膀胱癌細胞株4株に対する抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)添加時の増殖アッセイにて、増殖抑制効果を示せたことから、今後は、in vitroにおける詳細な機序の検証およびin vivoマウスモデルにおける検証、実験犬における検証を進めていく。具体的には、抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)の細胞内への取り込みについて検証を行う。また、犬膀胱癌細胞株を移植したヌードマウスへの抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)投与を行い、腫瘍径の変化を観察し、摘出腫瘍組織における抗腫瘍機序の検証を行う。実験犬への抗HER2抗体薬物複合体(T-DM1)投与を行い、最適な投与量の検証を行う。
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