研究課題/領域番号 |
23K05566
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
河原 円香 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (80847559)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | オルソブニヤウイルス / ブニヤウイルス / 節足動物媒介性ウイルス / Oropouche virus / 細胞内局在 / 核蛋白質 / 人獣共通感染症 / アルボウイルス |
研究実績の概要 |
節足動物媒介性の人獣共通感染症ウイルスであるオルソブニヤウイルスは世界各地で家畜や野生動物と蚊やその他の節足動物の間で広く維持され、多くのヒト感染例も報告されている。中でもオロプーシュウイルス(OROV) は中南米でデング熱に次いで頻発する新興感染症であるが、病原性発現機構や作用機序に関する研究は十分ではない。一方申請者はOROVが既存の感染機構では報告されていない「核蛋白質(N)が感染細胞の核に集まる」様子を観察した。ウイルス感染に不可欠なNの新たな機能を調査することは、「オルソブニヤウイルスは細胞質内でRNA転写・複製される」という定説を覆し、ウイルス感染症に対するワクチンや治療薬の開発に繋がる分子基盤となり得ると考えた。そこで本研究では「OROVのNが感染細胞の核に局在する」という新たな現象の解明を目的とする。 本年度はOROV感染細胞について細胞質・核分画における蛋白質量の比較を行った。OROVを感染させたHuh-7細胞を経時的に回収し、画分処理をして細胞質・核の分画を得た。これらの分画を用いたウエスタンブロッティングにより、Nが感染直後および感染中期以降に核に局在していることが示唆された。また感染細胞における蛍光染色により、これらの局在の様相が異なる可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は「OROV-Nの核移行」という現象の多角的な解析として、OROV感染に伴う分子の経時的な変化を明確にすることを目的とした。細胞質・核それぞれの分画におけるウエスタンブロッティング、蛍光染色による細胞内の局在について解析を行う事が出来た。次年度の研究項目の実施には影響はない。
|
今後の研究の推進方策 |
オルソブニヤウイルスはS(N, NSsをコードする)、M(糖蛋白質のGn, Gc, NSmをコードする)、L(RdRpをコードする)の3つのセグメントを持つ。それぞれのセグメントについて、感染細胞を経時的に回収した分画ごとにRNA量をqPCRで比較することで感染を正確に同期させた結果を得る。すなわち「感染細胞の核におけるNの局在と核内RNA量が関連しているかどうか」について明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度に計画していたqPCRについて、本試験に使用するprobe等の検討を小ロットで行っていたため次年度使用額が生じた。今後standardロットで複数の発注を行うことを予定しているため、使用計画に変更は無い。
|