研究課題/領域番号 |
23K05574
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (00305905)
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研究分担者 |
権平 智 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (80795089)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | マイコプラズマ / 気管上皮細胞 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
M.bovisによるウシ呼吸器感染症の発生率は過去5年において急速に増加し、特に免疫機能が成熟してない3ヶ月齡の子牛に多発する。個体飼育から集団飼育への移行後に感染することが多く、急性期は特徴的な発咳や発熱などの症状に始まり、慢性期になると重度の呼吸困難を呈して死の転機を迎えることが多い。有効な治療法も確立されておらず、抗生剤による治療が一般的に行われる。多くは難治性を示し、回復後も関節炎や中耳炎が継発したり、著しい発育遅延などを引き起こすため、酪農・畜産領域における経済損失が高い。マイコプラズマ性肺炎の病理学的特徴は「乾酪壊死病変」である。牛の呼吸器感染における凝固壊死は極めて稀な病態であり、臨床的な回復後も病変組織は吸収されることがないため、長期にわたり微生物とともに肺組織に存在することになる。M.bovisによる肺炎が他の微生物によるものに比較して重症化するメカニズムについては、未だ十分な解明には至っていない。獣医・畜産領域において早急な解決が求められる疾患である。本研究では、これらM.bovisに対する気管上皮細胞の免疫応答性について評価した。その結果、M.bovis(PG45株)刺激に伴うウシ気管上皮細胞 のIL-1、IL-6、TNFはM.bovisのMOI依存性に有意(p<0.05)に上昇することが明らかになった。このことより、牛のマイコプラズマ性肺炎では、M.bovisに対するbTECの直接的な応答性が、病態形成の一因をなす事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って順調に進展しております。
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今後の研究の推進方策 |
M.bovisの数少ない病原因子に特定されているバイオフィルムの産生能の制御について評価する。また、BRDCの主要な二次要因であるPasteurella multocidayaやManheimia haemolyticaの病態形成にM. bovisが及ぼす影響等について、免疫学的側面から明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品については、できるだけ安価なものを手配したため。予定額よりも総額として低い価格で購入することができた。次年度は解析に必要な試薬も多く、また、試薬類も価格高騰の傾向にあり、来年度の研究において適切に使用する。
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