研究実績の概要 |
これまで、申請者はヘルペスBウイルス(Bウイルス)のエンベロープタンパク質gD, gB, gH/gLを被った水疱性口内炎(VSV)シュードタイプ(VSV/BV/pv)の作製と、これを用いたBウイルス中和抗体検出法の開発を行ってきた。本研究はVSV/BV/pvを用いた手法により、Bウイルスのエントリー機構を明らかにすることを目的とする。令和5年度は、VSV/BV/pv作成時に用いるエンベロープタンパク質の組み合わせによってVSV/BV/pv の感染性に影響するかを検討した。gDを欠いたVSV/BV/pvはVero細胞への感染性がほとんど見られなかった。gD, gB, gH/gLに加え、gCを用いてもVSV/BV/pv のVero細胞への感染性にはほとんど影響がなかった。これらの結果は神経芽腫由来IMR32細胞を用いても同様であった。また、VSV/BV/pvのVero細胞への感染は、バフィロマイシンA1、塩化アンモニウム、クロロキンで阻害されず、細胞表面での細胞膜との膜融合を介してLow-pH非依存的に感染すると考えられた。これらは既報の感染性HSV-1を用いた実験結果と一致するものであった。さらに、多くの細胞腫を用いたVSV/BV/pv感染性の検討が必要であると考えられた。
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