研究実績の概要 |
分裂酵母減数分裂におけるクロマチン高次構造を解析するために、クロマチン軸構造の形成に障害を持つRec8変異体および Mis4変異体を取得し、これらの変異体のクロマチン構造を解析した。さらにクロマチン軸構造の形成におけるRec8とMis4の役割を明らかにするために、DNAとの結合性、ATPase活性、DNAループ形成活性を in vitro でアッセイする実験系を構築した。Rec8とMis4を分裂酵母の体細胞に高発現させて精製しin vitro アッセイしたところ、Rec8によるDNAループ形成活性にMis4の変異が影響することを明らかにした(未発表)。 また、相同染色体対合を促進するためには、Rec8が作るクロマチン軸構造の形成に加え、染色体に蓄積する非コードRNAが必要である。この仕組みを理解するために、in vitroの実験系を構築し、非コードRNAとその結合タンパク質が作る液滴の物理化学的特性の分析を行った。 減数分裂期の相同染色体対合におけるクロマチン軸構造と非コードRNAの役割について、国際会議等で発表した。非コードRNAとその結合タンパク質が作る液滴の物理化学的特性については、論文を投稿するとともにプリプリントサーバに公開した (Ding et al., bioRxiv)。また、染色体の安定性に影響を与えるDNA複製因子および核膜因子について論文として発表するとともに(Hirano et al., J Biochem 2023; Hirano et al., J Cell Sci 2023; Le et al., J Cell Sci 2023)、最新の成果についてはプリプリントサーバに公開した (Hirano et al., Ding et al., Hayashi-Taknaka et al., bioRxiv)。
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