研究課題/領域番号 |
23K05701
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 教授 (10519440)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | べん毛モーター / 回転分子機械 |
研究実績の概要 |
大腸菌べん毛モーターは回転する分子機械であり,固定子MotA/MotB複合体の細胞質ドメインと回転子リングが相互作用し,細胞膜を通過するイオンの流れをエネルギー源として回転トルクを生み出す.近年,モーター固定子の原子構造をもとに,イオン透過にともなう「固定子分子内回転」が回転子リングと連動して,モーター全体の回転を生み出すモデルが提唱された.本研究では,この固定子分子内回転が実際にモーター回転時に起こっているのかを検証することを目的としている. 2023年度は,蛍光観察による直接検出の準備および近年固定子の機能調節に関わるとされるFliLについて研究をおこなった.まず,蛍光観察のための準備として固定子を近年報告され非常に蛍光強度および安定性が高いとされるmStayGold等で標識を試みた.固定子の機能を保持させるため,多数のリンカーなども検討した.また,FliLが固定子に結合して機能すること,およびその個数を特定するためにGFP-FliLの動態を観察した.その結果,今後さらに詳細な解析は必要であるものの,過去に構造解析から予想されるストイキオメトリーと近い値が得られた.さらに,固定子を蛍光タンパク質ではない蛍光色素で標識する準備としてテトラシステインタグを用いた.FliLにテトラシステインタグを複数箇所に導入することを試み,機能を保持する変異体を複数得ることができた.FlAsHまたはReAsHで染色したころ,固定子-FliL複合体を標識した輝点とみられるものも観察されたが,観察用の株の作成など系の改善に取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の手法でべん毛モーター内の回転を検出する試みを進めており,それぞれ解決するべき問題点が明らかになってきているため.
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今後の研究の推進方策 |
調節因子も含んだ固定子複合体の蛍光観察と光架橋技術を組み合わせることで,引き続き観察系の改善に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
装置の再構築のための実験系の選定に想定よりも時間がかかり,2024年度に部品類の購入を検討しているため.
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