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2023 年度 実施状況報告書

非視覚光受容を担うメラノプシンの光応答

研究課題

研究課題/領域番号 23K05717
研究機関京都大学

研究代表者

今元 泰  京都大学, 理学研究科, 准教授 (80263200)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードロドプシン / 光反応 / 構造変化 / オプシン / G蛋白質共役型受容体
研究実績の概要

非視覚光受容を仲介するオプシン類であるメラノプシンは、分子進化的に無脊椎動物のロドプシンと近縁であり、光活性化過程でも類似性が示唆されている。本年度は、メラノプシンや頭足類ロドプシンがG蛋白質活性状態に構造変化すると考えられる、ルミロドプシンからメタロドプシンへの変化過程を紫外可視分光で観測するため、超短時間閃光フラッシュ装置を導入した。この装置のパルス幅は150ナノ秒であるが、実際に閃光分解測定装置に組み込み、予備的な実験を行ったところ、数100ナノ秒程度の時間分解能を実現できた。次年度はこの装置を用いて、メラノプシンや頭足類ロドプシンの光反応の解析を行う。
また、イカやタコのロドプシンの光反応過程をメラノプシンの光反応過程と比較するため、同じ条件の低温スペクトル法で解析した。初期過程ではどれも同様のバソ中間体、ルミ中間体が生成したが、メラノプシンのメタ中間体の吸収スペクトルは、タコのメタロドプシンよりもイカのメタロドプシンのものと類似していた。さらに、イカのメタロドプシンの吸収スペクトルがメラノプシンのメタ中間体と同じくグリセロールの影響を大きく受けることがわかった。グリセロールは浸透圧を高める効果があるころから、構造変化に水分子が関与している可能性が示唆された。一方、タコのメタロドプシンの吸収スペクトルはグリセロールの影響を受けないことから、これらのアミノ酸配列の違いから、影響を受ける領域を推測できると期待された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

無脊椎動物ロドプシンの光反応過程の解析や閃光分解装置に超短時間閃光フラッシュ装置を組み込むなど、おおむね順調であると考えられる。しかし、閃光分解測定システムの調整に手間取り、予備的なデータしか得られなかったため、次年度に解析を行う予定である。

今後の研究の推進方策

次年度はメラノプシンのモデルとなる頭足類ロドプシンの構造変化を広角X線散乱や赤外分光で解析し、メラノプシンの構造変化について検討する。また、メラノプシンの光活性測定の準備を進める。

次年度使用額が生じた理由

物品費が計画よりも少なかったことが主な原因である。備品(極短時間閃光フラッシュ装置)の導入は予定通りであったが、予備的な実験に多くの時間を割いたため、消耗品の購入が計画よりも少なかった。次年度は試料調製や分光測定が本格化し、消耗品の使用が増えるのでそれに充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Convergent mechanism underlying the acquisition of vertebrate scotopic vision2024

    • 著者名/発表者名
      Kojima Keiichi、Yanagawa Masataka、Imamoto Yasushi、Yamano Yumiko、Wada Akimori、Shichida Yoshinori、Yamashita Takahiro
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 300 ページ: 107175~107175

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2024.107175

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Role of tetramer of rod visual arrestin in the interaction with phosphorylated rhodopsin2023

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Imamoto, Keiichi Kojima, Toshihiko Oka, Ryo Maeda, Yoshinori Shichida
    • 学会等名
      日本生物物理学会第61回年会

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公開日: 2024-12-25  

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