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2023 年度 実施状況報告書

細胞膜ホスファチジルセリンの非対称性樹立・維持メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K05762
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

宮田 佑吾  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (70623453)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードフリッパーゼ
研究実績の概要

細胞膜リン脂質のうち、ホスファチジルセリンは細胞膜内装に限局している。ホスファチジルセリンは、生細胞の様々な局面において、一過的に露出され、その後、再度内層に濃縮される。この過程に,細胞膜フリッパーゼであるATP11A,11Cが関与している。さらに,申請者は,エンドソームに存在するフリッパーゼであるATP8A1,11Bも,細胞膜ホスファチジルセリンの非対称性の再構築に貢献していることを見出した。マウスT細胞株でATP8A1, 11A, 11B, 11Cの四重欠損細胞を作成し,カルシウムイオノフォアを用いて,一過的にPtdSerを露出させると,数時間もの間,全くホスファチジルセリンが内層へ移層されなかった。この四重欠損細胞に細胞膜フリッパーゼであるATP11A, 11Cを発現させると,露出したホスファチジルセリンは37℃においても15℃においても5分以内に速やかに内層へ移層され,非対称分布が再構築された。一方,エンドソームに局在するATP8A1, 11Bを発現させた時は,露出したPtdSerは15℃では内層に戻らず,37℃において60分ほどの時間をかけて非対称分布が構築された。この再構築活性は,ダイナミンの阻害剤でも抑制されたことから,ATP8A1とATP11Bはエンドサイトーシスなどの膜輸送を介して細胞膜ホスファチジルセリンの非対称性を再構築することが分かった。多くの細胞では,エンドソームと細胞膜のフリッパーゼを併せ持つことから,細胞膜PtdSerの非対称分布の構築には,二つの独立したシステムで維持されていることが示唆された。しかし、この四重欠損細胞においても、定常状態ではホスファチジルセリンを細胞膜内層に保持し、細胞膜の非対称性を樹立していた。つまり、申請者らが解明したメカニズムとは異なるメカニズムの存在が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞膜リン脂質の非対称性樹立における新たなメカニズム解明のため、スクリーニングを行なっており、候補遺伝子を取得できた。

今後の研究の推進方策

上記で同定した候補遺伝子について、ノックアウト細胞の樹立、レスキュー発現細胞の作成を行い、どのようなメカニズムで非対称性の構築に寄与するか、解明する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 細胞膜リン脂質の非対称性と脆弱性2023

    • 著者名/発表者名
      宮田 佑吾、瀬川 勝盛
    • 雑誌名

      サイトメトリーリサーチ

      巻: 32 ページ: 11~16

    • DOI

      10.18947/cytometryresearch.32.2_11

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Phospholipid asymmetry in the plasma membrane and its disruption2023

    • 著者名/発表者名
      Miyata Yugo、Yamada Kyoko、Nagata Shigekazu、Segawa Katsumori
    • 学会等名
      2023生命医科学研究所ネットワーク国際シンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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