研究課題/領域番号 |
23K05768
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
岩下 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70315597)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | ムチン / MUC5AC / 細胞外マトリックス / 外分泌 |
研究実績の概要 |
喘息やCOPDなどの呼吸器疾患のある患者では、細気道においてムチンを主成分とする粘液の過剰分泌が見られる。この過剰分泌は気道を閉塞することで換気障害につながり、症状を悪化させる。そのため、気道細胞におけるムチンの過剰な分泌を抑制するためにムチン分泌機構の解明が有用である。 我々は気道の粘膜の主成分であり、外界の異物から体を守る働きのある粘液ムチンの発現制御について研究を行った。その結果ムチンの分泌が細胞外基質(ECM)による制御を受けていることを見出した。ECMにはコラーゲンやラミニン、フィブロネクチンなど様々な種類が存在するが、それぞれムチン産生への影響が大きく異なる。ECMからのシグナルがムチンの産生の制御に関わるという報告はこれまでに無く、ECMとムチン産生をつなぐシグナル伝達機構について、さらに研究を進めることを本課題の目標とした。
ECM、及び細胞間接着分子インテグリンやリン酸化酵素Aktを介した経路でムチン(MUC5B、MUC5AC)産生に与える影響について喘息モデルマウスなどを用い解明した。生体を構成する主要なECMの内、4型コラーゲンは喘息の原因の一つである気道ムチンの産生を抑制した。それに対し、同じく主要なECMであるラミニンは逆に気道ムチンの作成を増加させた。これらの活性は、インテグリンを介して気道表面の細胞内に伝達され、気道ムチンの産生を制御することを明らかにした。 本年度には、特に食品などにも含まれる低分子成分がムチン産生、分泌の制御やECM産生に与える影響について解析し、有用な結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度には、特に食品などにも含まれる低分子成分がムチン産生、分泌の制御やECMの産生に与える影響について解析し、有用な結果を得ました。これらの結果をまとめ国内専門誌に報告しました。従っておおむね研究課題の遂行は順調に進展していると考えています。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、喘息モデルマウスや賠償細胞を用いて、細胞外マトリックス(4型コラーゲン、ラミニンなど)の気道粘液分泌に対する活性について解析を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より安価に試薬、消耗品を入手可能であったため、次年度使用額が生じた。次年度以降に消耗品を中心に使用予定である。
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