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2023 年度 実施状況報告書

イモリの尾部追加現象と尾再生との関連を探る

研究課題

研究課題/領域番号 23K05783
研究機関鳥取大学

研究代表者

竹内 隆  鳥取大学, 医学部, 教授 (70197268)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード組織比率 / 尾長比 / 尾再生 / Hox / イモリ
研究実績の概要

Hox13変異体成体イモリ(以下、変異体)の尾は異常に伸長し、最大で頭胴長の3倍に至る(野生型は約1倍)。その原因は尾椎数の増加にある。その詳細を解析し、今年度、以下の結果を得た。

1. 野生型、変異体いずれにおいても尾端に軟骨棒があり、そこから尾椎が追加される。しかし、変異体の軟骨棒は野生型のものに比べ、太くて長く、尾椎の追加スピードは20倍程度速い。
2. 野生型の尾再生時には1と同様に軟骨棒から高速に尾椎が追加されるが、そのスピードは変異体とほぼ等しい。

以上の結果から尾長率維持と尾再生のしくみとして次の仮説を立てた。Hox13は尾端において軟骨棒の伸長とそこからの尾椎形成の速度がゆるやかになるように調節をし、尾長比を維持する。尾端の切断によりHox13の発現が失われ、軟骨棒の伸長と尾椎形成が高速に進行し、尾再生が行われる。尾再生中にHox13の発現が復活し、尾椎追加が適切な時期(失われた尾椎数に達する時期)に終了する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度の成果は変異体の尾長伸長異常の仕組みの解明に大きく貢献したこと、尾再生との相関が強く示されたことによる。

今後の研究の推進方策

Hox13の尾長比維持および尾再生との相関をより深く解析するために、以下を行う。
1. 野生型、変異体それぞれの尾端および野生型尾再生芽についてRNAseqを行なっていて、その解析を行う。すでに初期的成果として変異体の尾端と野生型尾再生芽の両者で野生型尾端に比べ共通して増減する遺伝子が多数見つかり、この二つのトランスクリプトームが非常に似ていることが判明している。これを詳細に解析する。
2. 野生型、変異体それぞれの尾端および野生型尾再生芽について組織学的解析を行い、1の結果と合わせ、どのような細胞がどのように軟骨棒の伸長に関わるかを明らかにする。
3. 野生型の尾切断後にHox13を発現させ、尾再生が阻害されるか否かを検証し、Hox13の一過的な消失が尾再生を引き起こすという仮説を検証する。

次年度使用額が生じた理由

当初、RNAseq実験にかかる費用が大きいと予算計画をしていたが、基礎生物学研究所との共同利用研究により、低額で実験することができた。このため、次年度使用額が発生した。
今後、このRNAseq実験の結果を検証、発展させるために不可欠なqPCRやISH等の実験や本研究課題において重要であるHox13遺伝子強制発現実験など高額な実験を遂行する必要がある。このため、今回の予算と翌年度分の予算とを合わせ、有効に活用していく予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Amphibian newts as experimental models for studying weight gain after castration2024

    • 著者名/発表者名
      Takehara Mai、Kyakuno Mitsuki、Okamoto Kazuko、Tazawa Ichiro、Furuno Nobuaki、Furumitsu Megumi、Ukena Kazuyoshi、Imamura Takuya、Takeuchi Takashi、Hayashi Toshinori
    • 雑誌名

      Endocrine Journal

      巻: 71 ページ: 181~191

    • DOI

      10.1507/endocrj.EJ23-0207

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Appendage-restricted gene induction using a heated agarose gel for studying regeneration in metamorphosed Xenopus laevis and Pleurodeles waltl.2023

    • 著者名/発表者名
      2.Matsubara, H., Kawasumi, A., Nara, S., Yokoyama, H., Hayashi, T., Takeuchi, T., and Yokoyama, H*.
    • 雑誌名

      Dev. Growth Differ.

      巻: 65 ページ: 86-93

    • DOI

      10.1111/dgd.12841. Epub 2023 Feb 16.

    • 査読あり
  • [学会発表] 両生類分子遺伝学が切り拓く新たな地平-発生や再生のミッシングリンクをつなぐ-2024

    • 著者名/発表者名
      竹内 隆、林 利憲
    • 学会等名
      研究戦略シンポジウム 細胞運命制御研究の新展開 -がん克服から組織再生、老化制御まで-
    • 招待講演
  • [学会発表] イベリアトゲイモリにおけるHox遺伝子多重機能解析が示す新たな機能多様性2023

    • 著者名/発表者名
      竹内 隆、松原 遼、戸澤 紗代、裏川 浩平、伊藤 優、明日香 智絵、坂本 歩、添田 麗生、林 利憲、阿部 玄武
    • 学会等名
      本動物学会第94大会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Hox13変異イモリにおける後肢欠損の仕組みについて2023

    • 著者名/発表者名
      戸澤紗代、松原遼、南谷史奈、佐藤幸夫、阿部玄武、林利憲、竹内隆
    • 学会等名
      日本動物学会第94大会
  • [学会発表] イベリアトゲイモリにおいて全摘出した上腕骨が再生する現象についての研究2023

    • 著者名/発表者名
      阿南 有紗、松原遼、阿部 玄武、竹内 隆
    • 学会等名
      日本動物学会第94大会
  • [学会発表] Newt Hox13 genes regulate tail length in the adult stages2023

    • 著者名/発表者名
      Takashi Takeuchi, Tomoe Asuka, Haruka Matsubara, Ayumi Sakamoto, Reo Soeta, Toshinori Hayash, Gembu Abe
    • 学会等名
      JSDB2023
    • 国際学会
  • [備考] 鳥取大学医学部生命科学科発生生物学分野

    • URL

      https://www.med.tottori-u.ac.jp/introduction/lifesciences/about/3319/3335/23806.html

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公開日: 2024-12-25  

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