予備的な解析から,MIZ1が細胞内で凝集体を作ることが推定されていた。当該年度は,この凝集体の性質について解析するために,まず葉肉プロトプラストに蛍光タンパク質に融合させたMIZ1を一過的に発現させる系を用いて研究を行った。その結果,MIZ1はホモ複合体を細胞内で形成することが明らかになった。さらに,miz1-1およびmiz1-5型のタンパク質とGFPとの融合タンパク質は植物体内で検出することができなかったが,今回,蛍光タンパク質を融合させる場所をこれまでと変えることで,変異型MIZ1タンパク質も検出できることが分かった。そこで,BiFC法を用いてMIZ1型,miz1-1型,miz1-5型それぞれのタンパク質が,細胞内で複合体を形成するのかを解析し,いずれもホモ複合体形成能を有することを見出した。水分屈性時の動態変化の解析のため,植物体内でBiFC法を適用できるような形質転換体の作出を開始した。 これに加えて,MIZ1相互作用タンパク質の選抜のためのタグ付きMIZ1発現系統の作出も進め,タグを指標にMIZ1とMIZ1相互作用タンパク質を沈降させるための系統の樹立に成功した。上述の葉肉プロトプラストを用いた解析からえられた知見をもとに,変異型タグ付きmiz1タンパク質を発現する系統の作出も行い,形質転換体を得ることに成功した。 変異型miz1タンパク質と相互作用するタンパク質との差し引きが可能になった点は,水分屈性という現象と本質的に関わるMIZ1相互作用タンパク質の同定に資するという意味で,大きな進展であるといえる。 上記のほか,MIZ1の機能発現に必要なMIZ2水分屈性時に根のどこで機能するのかを解明し,論文発表した。また,オーキシンがMIZ1の制御下で水分屈性の停止に機能することを見出し,論文発表した。
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