研究課題/領域番号 |
23K05856
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
善方 文太郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (90758541)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 神経筋接合部 / アセチルコリン受容体 / ゼブラフィッシュ / 筋収縮 / 運動機能 / 骨格筋 / イオンチャネル / カルシウム透過性 |
研究実績の概要 |
骨格筋と運動神経のシナプスである神経筋接合部は運動機能制御システムの焦点となる極めて重要な構造である。特に神経筋接合部のニコチン性アセチルコリン受容体は運動神経からの指令を受け取る重要な役割を担う。近年、遅筋細胞において従来知られていたものとは異なる分子構成のアセチルコリン受容体が発見された。しかしその性質は機能には不明な点が多い。本研究ではこれらを解明し、骨格筋収縮メカニズムに対する理解を深めることを目的とする。 これまでに、遅筋のアセチルコリン受容体が速筋型に比べてカルシウムに対する高い透過性を示すことを示唆した。さらに、遺伝子改変によって遅筋のアセチルコリン受容体のカルシウム透過性を喪失させると運動機能が大きく低下することが示唆された。昨年度はさらに運動機能解析をすすめ、その結果、カルシウム透過性の喪失による運動機能の低下は発生の初期、すなわち受精後2日齢までの稚魚で顕著であり、発生が進むにつれて運動機能は向上し、受精後5日齢では野生型とほぼ同等の運動機能を示すことがわかった。さらにカルシウムイメージングによってカルシウム透過性を喪失した系統の遅筋の活動を解析したところ、2日齢個体ではアセチルコリンに対するカルシウム応答が短時間で終息することが示唆された。この短いカルシウム応答が運動機能の低下を引き起こしたと考えられる。5日齢個体ではカルシウム応答は野生型の遅筋と有意な差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の通り、高速カメラを用いた運動機能解析を行い、遺伝子改変系統において運動機能の低下が認められることを示唆した。さらにカルシウムイメージングについても実行し、筋細胞レベルでカルシウム透過性喪失が及ぼす影響を解析した。今後パッチクランプ法などを用いてさらに詳細を解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
筋細胞に対してパッチクランプ法を用い、アセチルコリンに対する応答をより詳細に解析する。そこまでの結果をまとめて論文として発表の準備に入る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めるなかで遺伝子改変系統の個体数をより多く確保する必要が生じ、その育成に時間を要したためいくつかの実験を次年度以降に行うこととなったため。
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