• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

養育行動にみる養育と攻撃/無視行動における視床下部機能の役割

研究課題

研究課題/領域番号 23K05858
研究機関日本医科大学

研究代表者

折笠 千登世  日本医科大学, 医学部, 准教授 (20270671)

研究分担者 山田 一夫  筑波大学, 人間系, 教授 (30282312)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード養育行動 / オプトジェネティクス / MCH / オキシトシン / 社会行動 / tet off / Creリコンビナーゼ / 虐待
研究実績の概要

当該研究は養育行動に関わるオキシトシンの機能性に新たな知見を得ることを目的とする。これまで、養育行に関連するホルモンがメラニン凝集ホルモン(MCH)であることを明らかにしてきた。さらにMCHからオシキトシンへの神経連絡があり、MCHのオプトジェネティクスによって養育との関連性を明らかにすることができた。本研究では、MCH-オキシトシン神経回路の養育への関与の詳細を明らかにするために、MCH-Creリコンビナーゼ(Cre)トランスジェニックマウスとオキシトシンCreトランスジェニックマウスをかけ合わせて作製したダブルトランスジェニックを用いて検討を行った。MCHのニューロンを、Cre依存的にジフテリアトキシンを導入し、部分的にノックアウトすることによって行動に変容がおこった。オキシトシンは正常であるが、MCHを50%消失させることによって、養育行動はおこらなくなり、仔を無視する行動をするようになった。反対に、MCHが正常な状況下で、オキシトシンにチャネルロドプシン(ChR2)を発現させ、光刺激することによって、仔を運ぶ行動が誘起された。オキシトシン、MCHともにGFPを感染させたコントロール群においては、仔を運ぶことはなかったことから、MCHが正常に作動する状態で、オキシトシンニューロンを賦活化することによって、より積極的な子育て行動が引き起こされることが判明した。以上のことから養育行動を担うオキシトシンの働きは、MCHニューロンの存在の有無によって制御されることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今回新たに考案したダブルトランスジェニックマウスは確立され、ジェノタイピングによって効率的に実験に供することができるようになった。このダブルトランスジェニックマウス
は、オキシトシンとMCHニューロンともにCreリコンビナーゼを発現しており、オプトジェネティクスによってオキシトシンニューロンの活動性を変え、MCH消失状態で養育行動に対して影響性を観察できる利点があげられる。具体的には、アデノ随伴ウイルスを用いてジフテリアトキシンを導入し、MCHニューロンを50-75%程度、部分的な消失を行うことができる。このシステムでは完全なアブレーションをすることはないため、tet-offシステムをもちいたMCHニューロンノックアウト(KO)の手法が必要となった。MCHKOマウスの室傍核オキシトシンニューロンにChR2を発現させ解析を行う準備をしている。

今後の研究の推進方策

MCHニューロンのジフテリアトキシンによるアブレーションは50%前後にとどまり完全にノックアウトすることができない。そこでMCHを完全にノックアウトすることができる、tTA-MCHとDTAのトランスジェニックマウスを用いる。この動物のオキシトシンニューロン特異的なプロモーター下流にCreをつないだ遺伝子を発現させ、Cre依存的にChR2の導入を試みる。Cre依存的なAAV-DTA導入によるMCHアブレーション効果は、50%にとどまるがtTA-MCH、DTAのダブルトランスジェニックマウスによってMCHを完全に消失することができる。その条件下で光刺激の条件を最大限にまで上げ、ChR2によってオキシトシンニューロンの活動性を大きく変え、仔に対する行動性に変容があるかどうか検討する。

次年度使用額が生じた理由

消耗品購入の必要性はあったものの、購入に対する予算が不足していたため、次年度に回して購入するを判断をした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 養育行動神経回路とその機能2023

    • 著者名/発表者名
      折笠千登世
    • 雑誌名

      月刊細胞ー変貌する行動生物学

      巻: 55 ページ: 81-85

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi