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2023 年度 実施状況報告書

ハーディ・ワインベルク不平衡を利用したがん原因遺伝子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K05871
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

西野 穣  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (40724076)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードハーディ・ワインベルク不平衡 / GWAS;ゲノムワイド関連解析 / Allelic heterogeneity
研究実績の概要

本研究は、GWASのようなゲノムワイドな遺伝子型情報を用いた、がんを含めた複雑疾患のリスク変異を探す新しいアプローチとして、ハーディ・ワインベルク不平衡 (Hardy-Weinberg disequilibrium; HWD)に注目する。同一遺伝子に複数のリスク変異が存在する"Allelic heterogeneity"は一般的に見られる現象である。本研究では、Allelic heterogeneityに対応した遺伝的リスクの探索方法として、遺伝子内のHWDを集約した「遺伝子ベースHWE検定(gene-based Hardy-Weinberg equilibrium Test; gene-HWT)」を開発することを目指す。本年度は、まず、gene-HWTの統計量として、遺伝子内の各変異のHWE検定統計量の和をその標準偏差で正規化したものを考えた。このときに必要となる、2つのHWE検定統計量の共分散が連鎖不平衡係数の二乗となることを示すことができた。連鎖不平衡係数の二乗は公共データである1000人ゲノムから計算することとした。次にシミュレーションによりgene-HWTの有効性を次のとおり検証した。gene-HWTは、α=2.5e-06 (ボンフェローニ補正を用いて2万遺伝子を有意水準5%で検定するときの各遺伝子の有意水準に相当)のような非常に小さい場合であっても、実質有意水準が名目有意水準に保たれることを確かめた。検出力は、予想どおり、Allelic heterogenietyの存在下で、変異毎のHWE検定に対し顕著な優位性を示した。最後にgene-HWTを6つのがんのGWASデータに適用し、新しいがん関連遺伝子の候補や、既知のがん関連遺伝子に新規のがん関連変異の候補を特定した。以上の結果は論文としてまとめ学術雑誌に投稿し査読中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,検定統計量の構築からその有効性のシミュレーションによる検証、がんの実データへの適用までを行った。また、これまでの結果を論文にまとめ投稿中である。

今後の研究の推進方策

本年度の研究を以下のとおり発展させる。
(1) 実データ解析で発見した新規のがん関連候補遺伝子や変異について、遺伝子発現量などを生物情報学的手法を用いて検証する。
(2) gene-HWTの統計量を考案する過程で得た知見を生かし、新規の遺伝子ベース検定を構築しがんデータへの適用する。

次年度使用額が生じた理由

当初はゲノムデータの前処理と一部の開発手法を外部に委託する予定だったが、R5年度には前処理が不要な整理済みのデータを入手できたため、そのデータの解析を優先した。R6年度以降には、データの前処理と開発手法の一部を外部に委託する。

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公開日: 2024-12-25  

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