研究課題/領域番号 |
23K05878
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大沼 亮 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 講師 (80756825)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 盗葉緑体 / 細胞内共生 |
研究実績の概要 |
水圏には光合成と捕食の両方を行う「混合栄養」と呼ばれる栄養摂取様式が普遍的であり、このような生物は周囲の環境によって光合成と捕食の割合を変えてエネルギーを得ることが知られている。しかしながら、培養・観測の難しさ故にその生理的・生態的な実態の把握は進んでいない。本研究では、盗葉緑体性(混合栄養性の一つ、他の生物の葉緑体を盗んで使う)渦鞭毛虫をモデルとして、盗葉緑体の形態や共生の状態が細胞外の環境に応じてどのように変化するのかを測定し、環境変動に応じた栄養摂取の転換を明らかにする。 本年度は当初の計画の2年目以降に実施する予定であった細胞外環境の変化に応じたトランスクリプトーム変動解析を行った。細胞外の窒素源を変えた共生体トランスクリプトーム解析では、共生状態では窒素欠乏への応答性が鈍化することが明らかとなった。また、宿主は細胞外の窒素の変化に応答して窒素代謝に関連する遺伝子群の発現を変化させることが明らかとなった。 また、本年度は対象となる渦鞭毛虫が安定して採集できる調査地の選定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞外の窒素源に応じたトランスクリプトーム変動解析により、確かに細胞外の環境によって能動的に細胞内の代謝を変化させていることを示唆する結果を得た。 1年目に実施する予定であった野外調査は本格的に始動していないが、研究代表者の研究室からアプローチし易い場所に安定的に渦鞭毛虫が採集できる調査地を設定したため、以降の研究は大幅な時間の短縮が見込める。
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今後の研究の推進方策 |
Nano-SIMSによる物質の輸送の解析は早々に実験条件を整え、解析をする。また、野外の調査地に定期的に赴き、生息地の環境と共生のの状態の定量化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
Nano-SIMS解析を次年度に実施することとしたため、その解析費を次年度使用額とした。
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