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2023 年度 実施状況報告書

エピジェネティクスによる単細胞真核生物の1倍体と2倍体の表現型切換えの進化的考察

研究課題

研究課題/領域番号 23K05882
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

廣岡 俊亮  国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 特任助教 (70843332)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードエピジェネティクス制御 / イデユコゴメ類 / ゲノム解析 / 遺伝的改変技術
研究実績の概要

エピジェネティクスはDNAの塩基配列の違いによらずに遺伝子発現の多様性を生み出すしくみであり、細胞分化およびトランスポゾンや外来ゲノム配列の不活化等に重要な役割を果たすことが明らかにされてきた。研究代表者は、これまでに単細胞紅藻類では見つかっていなかった有性生殖過程をイデユコゴメ類において発見した。さらに、イデユコゴメ類に属するシアニディオコッカスにおいて、1倍体と2倍体の表現型切換えにヒストンH3の27番目リジンのトリメチル化が関わる可能性を見いだした。本研究では、イデユコゴメ類を有性生殖研究のためのモデル生物系統群として開発し解析を行い、エピジェネティクス制御による単細胞真核生物の1倍体と2倍体の表現型の切換え機構とその進化過程の解明を目指す。
イデユコゴメ類には数億年から十数億年前に分岐した藻類が存在しており、これまでに研究代表者はこれらの系統の中の4属(ガルデリア、シアニジウム、シアニディオコッカス、シアニディオシゾン)において有性生殖過程(減数分裂による2倍体から1倍体の発生)を発見している。そして、4属それぞれの2倍体から1倍体を誘導し、株化している。本年度は、これらの藻類をモデル生物系統群とするための開発を進めた。主に、ゲノム情報と遺伝的改変技術の整備をこれらの藻類で行い、4属全てをモデル生物として扱うための基盤が整いつつある。イデユコゴメ類をモデル生物系統群として開発することで、エピジェネクス制御による単細胞真核生物の1倍体と2倍体の表現型の切換え機構とその進化過程を明らかにすることが出来ると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでにイデユコゴメ類に属する4属の藻類のうち、既にゲノム情報が整備されていたシアニディオシゾン(Matsuzaki et al. 2004)の他に、研究代表者によってガルデリア(Hirooka et al. 2022)とシアニディオコッカス(未発表)の1倍体のゲノムが解読されていた。本年度はシアニジウムの遺伝子予測を終え、4属の1倍体のゲノム情報が全て整備された。また、分子遺伝学的な実験を行う上で有用な遺伝的改変技術は、4属の中で唯一遺伝的改変が行えなかったシアニジウムにおいても、現状その効率は低いものの可能になった。以上のように、イデユコゴメ類をモデル生物系統群とするための開発が順調に進んでいる。従って、研究は計画通り順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は、既に1倍体と2倍体の比較トランスクリプトームを実施したシアニディオコッカスとガルデリアに加え、シアニジウムとシアニディオシゾンにおいてもRNA-seqを行い1倍体と2倍体で発現量の異なる遺伝子を同定する。また、ヒストンメチル化(H3K27me3)のChIP-seqは、現状シアニディオコッカスのみで実施しており、1倍体特異的遺伝子の多くが2倍体で、2倍体特異的遺伝子の多くが1倍体でH3K27me3修飾(発現抑制)を受けていることを明らかにしている。そこで、他の3属においても1倍体と2倍体のChIP-seqを実施し、シアニディオコッカスで見られた現象が他のイデユコゴメ類でも共通するものなのかを明らかにする。また、シアニジウムの形質転換は効率が低いため、改良を行ってより使いやすくする。

次年度使用額が生じた理由

次世代シーケンサーによる塩基配列データ取得の外注費用を当初想定していた額より抑えられた為、次年度使用額が生じた。これについては、次年度に予定しているChIP-seqに必要な試薬等の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 単細胞紅藻イデユコゴメ類における有性生殖過程の発見2023

    • 著者名/発表者名
      廣岡俊亮, 冨田麗子, 山下翔大, 周 柏峰, 辻野 代, 八木沢 芙美, 藤原 崇之, 宮城島進也
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会

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公開日: 2024-12-25  

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