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2023 年度 実施状況報告書

博物館における分類学の再考と再構-生物多様性保全に向けた保全分類学の挑戦-

研究課題

研究課題/領域番号 23K05899
研究機関滋賀県立琵琶湖博物館

研究代表者

川瀬 成吾  滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (90750505)

研究分担者 山野 ひとみ  倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (70811983)
北村 淳一  三重大学, 生物資源学研究科, リサーチフェロー (00432360)
田畑 諒一  滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (00793308)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード保全分類学 / カゼトゲタナゴ類 / 形態学 / 自然史博物館 / 標本 / 淡水魚 / 絶滅危惧種
研究実績の概要

本研究は、絶滅が危惧される淡水魚カゼトゲタナゴ類の類縁関係を明らかにするとともに分類学的課題を解決することを目的としている。2023年度は、カゼトゲタナゴ類の分類学的課題を解決する上で最も重要となるAchilognathus smithii (=Rhodeus smithii)のタイプ標本を精査することを第一の目標とした。
2023年11月3日から11月14日の日程でタイプ標本が保管されているロンドン自然史博物館を訪問し、タイプ標本BMNH1907.12.23.125(1個体)の標本調査を実施した。外部形態について、31項目の計測と15項目の計数を行った。また、軟X線写真から脊椎骨数の計数、頭部側線系の観察も実施した。申請者らが保有するスイゲンゼニタナゴとカゼトゲタナゴの形態情報と比較したところ、多くの形質でちょうど両集団の中間に位置し、明確にどちらに位置づけらるか結論づけることは困難であった。今後、より詳細に検討する必要がある。
また、本タイプ標本は、産地がNodogawa River, Kiotoとなっており、どこを指すのか不明確なことが以前から問題視されている。もし仮に京都の淀川だとすると、スイゲンゼニタナゴの分布とされている兵庫県千種川水系から広島県芦田川水系までという現在の常識とは大きく異なることになる。今回、改めてラベルと当時の古い台帳を確認したが、それ以上の情報を得ることはできなかった。しかし、同じ日に登録された「Nodogawa River」の標本を確認すると山陽地方には生息しないイタセンパラが含まれていた。このことから、京都の淀川と解釈することが最も自然と考えられた。
以上のように2023年度では、本類で最も重要なタイプ標本の調査を実施できた。しかし、まだ多くの課題を残しているので、引き続き他のタイプ標本の精査や国外産種との比較などを行う必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず第一の目標としていたAchilognathus smithiiのタイプ標本の情報を得ることができたことは大きい。また、それを使った形態比較も実施できた。以上から、初年度は、順調に進行していると考えて問題ないだろう。

今後の研究の推進方策

2年目以降、Acanthorhodeus atremius (=Rhodeus atremius)などのタイプ標本調査や韓国や中国に生息するR. notatus、R. fangiとの比較を行う必要がある。また、シーボルトの日本動物誌にカゼトゲタナゴ類に類似するスケッチが描かれているという問題があるため、オランダやドイツに所蔵されているシーボルト標本の調査も視野に入れる必要がある。
カリフォルニア科学アカデミー、ナチュラリス生物多様性センターや韓国のカウンターパートと連絡を密にして、調査を実現する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた遺伝分析が遅れているため、主にその分について差額が生じた。2年目以降の旅費が不足しているため、そちらに充足することを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Rhodeus smithii (Regan, 1908 ) は日本のどの水系の種カゼトゲタナゴに形態が近いか?2023

    • 著者名/発表者名
      北村淳一・守屋和幸・川瀬成吾・山野ひとみ
    • 学会等名
      第 777 回魚類自然史研究会

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公開日: 2024-12-25  

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