研究課題/領域番号 |
23K05914
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
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研究分担者 |
堤 千絵 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (30455422)
山下 由美 福島大学, 共生システム理工学類, 客員准教授 (30792543)
辻田 有紀 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80522523)
蘭光 健人 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (40907987)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 菌根共生 / 着生植物 / 環境DNAメタバーコーディング / ラン科 / 進化 |
研究実績の概要 |
林冠という強ストレスの新規立地に植物が定着する過程で菌類がいかに寄与したか、これまで看過されてきた。本研究は、地上から樹上へ生育立地が跳躍的な進化を遂げた複数のラン科近縁系統群の共生菌と生育基質(樹皮、土壌)の菌類多様性を明らかにし、植物の樹上への進化過程で菌類との共生にいかなる変化が生じたか高精度で解明する。 日本に分布するラン科の約3分の1にあたる108種類が自生し、林床に生育する地生種と樹上に生育する着生種が近接する自生地が多い屋久島において、地表と樹上におけるラン科物の菌根菌多様性を比較した。 地生種16種56個体と着生種14種72個体から菌根を採取するとともに、生育地点から生育基質16サンプル(土壌8点と樹皮8点)を採集し、DNAを抽出した。菌類のユニバーサルプライマー(ITS86F/ITS4)とツラスネラ科特異的プライマー(5.8S-Tulngs/ITS4-Tul2)にて核リボソームDNA遺伝子ITS2領域を増幅し、次世代シークエンサー(NovaSeq 6000)を用いてシーケンスした。得られた塩基配列を既知の分類群の塩基配列と比較して菌の種類を特定し、ITS2領域の相同性が97%以上のものを操作的分類群に類別した。 解析の結果、生育基質間の菌類相の違いが、地生種と着生種間の菌根菌多様性の差異をもたらす要因になっている可能性が明らかになった。また、樹上は土壌に比べて菌類多様性は低いものの、ラン科と共生報告のある菌系統(OMF)多様性は土壌と同程度であった。これらのことから、ランはストレスの強い樹上環境に進出した後でも、系統的に多様なOMFを共生菌として利用できたことが、樹上でのラン科種分化を促進したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプル収集、データ解析ともに概ね予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに実施するが、環境DNAメタバーコーディングの解析精度の向上に注力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
1箇所での調査が予定通りに実施できなかったため、次年度使用額が生じた。本年度にこの調査も追加して実施する予定である。
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