研究課題/領域番号 |
23K05961
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
河原 裕憲 金沢大学, 医学系, 助教 (00424177)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | エクソソーム / 神経疾患 |
研究実績の概要 |
エクソソームは、ほぼ全ての種類の細胞が放出する小型(直径50~150 nm 程度)の膜小胞で、膜内にタンパク質、核酸などを内包しておりシグナル伝達分子として標的細胞へと伝播する。神経系においてはエクソソームを介して神経変性疾患原因分子が伝播・凝集化することで発病に関連しうることが想定されているが、詳細な分子機序については不明な点が多い。また、神経系エクソソームは血液脳関門を越えると考えられており、中枢の情報がエクソソームを介して末梢へと遠隔性伝播される可能性も示唆されている。我々のグループはこれまでに、刺激依存的に神経細胞由来エクソソーム内包化する神経特異的な膜蛋白質を同定し神経変性疾患との関連を解析してきた。その結果、この蛋白質分子が脳内炎症に関与しうることが分かってきた。そこで、脳炎患者由来検体からエクソソームを単離して解析したところ、炎症症状が強い方においてこの分子の発現が観察された。一方、エクソソームの遠隔性伝播を解析する新規技術開発の為に蛍光タンパク質を用いた数十種類のベクターを作成し、培養細胞レベルで数百種類の条件を検討中である。今後は、最適な発現条件のベクターと子宮内電気穿孔法などを用いて、まずは、マウスの脳内でのエクソソーム伝播を解析する。以上、本研究は神経細胞由来エクソソームを介した神経炎症への分子作用機序とその伝播機構を明らかにすることであり、臨床分野への波及も大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標的分子のKOマウスの作製済みであり、脳炎への効果についても解析も進んでいる。EVs伝播解析は、条件検討段階であるがベクター作製は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
標的分子に関してKOでの解析を、WB、IHCなどで精査する。伝播解析は、ベクターの条件検討を完了してマウスでの解析を着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
子宮内電気穿孔法などのマウスの実験が少なかった為に、差額が出た。今後は、当該実験を実施予定なので差額分が相殺される予定である。
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