研究実績の概要 |
Cbln1のGluD2への結合による、シナプス後部に発現するシナプス形成及び可塑性に関与すると考えられるタンパク質の局在変化を免疫組織化学的に探索した。Cbln1欠損マウス小脳初代培養プルキンエ細胞に、神経棘を標識するactin-mCherryとEGFPを融合させた候補タンパク質(Shank2, CaMKII alpha, PICK1, Homer1, PSD93, SAP97, S-SCAM, PTPMEG, GRIP1, GRIP2など)を導入し、精製Cbln1処理によって生じる、GluD2と候補タンパク質との分布と位置関係の変化を定量的に解析した。Cbln1処理によりGluD2はシナプスに集積したが、上記候補タンパク質のうち、GluD2と有意に近接してくるタンパク質は見られなかった。 また、近位依存性ビオチン標識法を用いてGluD2との直接的な相互作用を変化させる分子を探索した。本実験では、GluD2の細胞内C末端にビオチンリガーゼであるTurboIDを融合させたGluD2-TurboIDを作成し、L7プロモーターとTet-offシステムによって発現誘導を可能としたうえで、Cbln1欠損マウス由来の小脳初代培養系のプルキンエ細胞に導入した。その発現を誘導後、精製Cbln1処理を行い、ビオチン化タンパク質をストレプトアビジン・ビーズを用いて回収した。十分量のサンプルが得られ次第、質量分析を行う予定である。
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