研究課題/領域番号 |
23K06006
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 容子 関東学院大学, 栄養学部, 教授 (70251501)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 聴神経回路網 / 前庭神経回路網 / 発生 / 膜電位感受性色素 / 光学的計測 |
研究実績の概要 |
個体発生に伴う中枢神経系の機能発生過程とその制御メカニズムの解明は、神経系の機能的構築を理解する上で最も基本的かつ重要な命題である。本研究では、ニューロン電位活動の光学的イメージング法を導入し、聴覚・平衡感覚を司る神経回路網をターゲットとしてその機能的形成過程を明らかにするとともに、申請者が独自に発見した広範囲伝播脱分極波との相互作用を解明して、個体発生に伴う脳幹神経回路網の機能的構築過程を明らかにすることを目的とする。 令和5年度は、鶏胚聴神経回路網の機能形成過程について解析を行うとともに、計画を一部前倒しして、哺乳類における聴神経回路網の機能形成過程について解析を進めた。孵卵8日の鶏胚脳幹標本において、聴神経刺激によって誘発される脳幹内応答を光学的に計測したところ、fast signalと呼ばれる活動電位と、slow signalと呼ばれる興奮性シナプス後電位が同定された。slow signalの定量的マッピングから、一次感覚核であるNucleus magnocellularisおよびNucleus angularisと、二次感覚核であるNucleus laminarisの三次元的広がりを明らかにした。さらに、低倍率での光学計測により、高次核に相当するNucleus lemnisci lateralisならびに小脳における応答を同定した。鶏胚での結果を踏まえ、マウス胚における聴神経回路網の機能形成過程について解析をすすめ、聴神経刺激によって、鶏胚と同様な時間経過のfast signal、slow signalが誘発されることを確認した。slow signalの定量的マッピングから、一次感覚核である蝸牛神経核の三次元的広がりを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
哺乳類聴覚神経回路網の解析に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究計画に沿って、哺乳類における解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に伴う消耗品費の一部を別の研究費でまかなったため、実支出額が少なくなった。残額は、次年度の消耗品費に充当する。
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