我々はこれまでに、欲求行動の一つである渇水時飲水行動の抑制および促進を制御し得る大脳皮質由来神経回路を同定してきた(Takemoto et al. (2023) iScience)。本研究では、満足の生成に寄与する神経回路の同定を目的としている。本年度ではまず、快情動を生み出し得る大脳皮質由来神経回路をマウスで同定するために、アデノ随伴ウイルスベクターによる神経回路標識法を用いて、これまでに知られている報酬系への連絡経路を有するニューロン群を探索した。その結果、島皮質およびその他の大脳辺縁皮質において候補となるニューロン群を見出した。さらに、これらのニューロン群が有する下行性神経回路の役割を明らかにするために、オプトジェネティクス法を用いて、神経回路刺激による情動行動への影響を解析しており、次年度にもこれを継続して行う。
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