研究課題/領域番号 |
23K06019
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山田 大輔 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (10621302)
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研究分担者 |
斎藤 顕宜 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (00366832)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 島皮質 / δオピオイド受容体 / 過敏性腸症候群 / 病態モデル / 代理社会的敗北ストレス |
研究実績の概要 |
うつ病、不安症などのストレスに起因する情動異常を示す精神疾患に関する研究は、主に脳内の状態変化に着目したものであったが、近年では代謝や栄養状態など、末梢臓器からの情報が脳に伝わり、情動に影響することが明らかになりつつある1)。末梢臓器からの情報は、迷走神経などの自律神経系を介して脳へと伝わる事が知られており、その経路は延髄孤束核を中継地としてより高次の皮質領域へと伝えられる。その高次皮質の一つである島皮質は、内臓情報だけでなく、痛みや情動に関する情報処理の最高次中枢でもあり、多感覚情報を統合する脳領域であると考えられている1)。また、島皮質は扁桃体や視床下部などの情動中枢に投射し、自律神経系を介して末梢臓器へと遠心性の指令を送る。すなわち、島皮質はいわゆる末梢ー中枢連環の最高次中枢として機能している。 本研究においては、この島皮質を中心とした末梢ー中枢連環ネットワーク、特に自律神経系と島皮質および関連する扁桃体、視床下部や脳幹領域からなる神経回路を介した情動変容におけるδオピオイド受容体(DOP)の役割を明らかにすることを目的としている。 我々は、比較的妥当性の高いうつ病モデルとして知られる代理社会的敗北ストレス(vCSDS:攻撃を受けている同種他個体を1日10分間、10日間繰り返し観察させる心理的ストレス)を負荷することによって、下痢様症状と内臓痛覚過敏を呈することを報告している。初年度となる令和5年度は、申請時に予備的データとして得ていた選択的δオピオイド受容体作動薬による上記症状の改善作用について、再現性を確認することに成功した。すなわち、DOP作動薬を島皮質に直接投与することによって、下痢用症状とカプサイシン直腸内投与により誘発される疼痛関連行動を有意に抑制することを見出した。現在、本成果に関する論文を投稿中である。また、Caイメージングシステムの構築も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していたδオピオイド受容体発現細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するDOP-Creマウスの導入が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
DOP-Creマウスの導入が遅れたため、計画書に記載した代替案に従って計画を進める予定である。具体的には、DOP下流にGFPを発現するDOP-eGFPマウスを用いる。現在、体外受精によって繁殖母群の作出を実施中であり、母群が整い次第、実験群の繁殖を開始する。上記の計画変更によって、DOP発現細胞特異的に光遺伝学的制御を行うことは困難となったが、DOP-eGFPマウスにおいてもDOP発現細胞の可視化が可能である。したがって、ChR2-AAVベクターと逆行性トレーサーを組み合わせることによって、島皮質を中心とする投射特異性を可能な限り担保した条件下で実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたDOP-Creマウスの導入が遅れたため、関連する実験費用(分担研究者分も含む)を翌年度分として請求した。
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