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2023 年度 実施状況報告書

オートファジー特異的阻害剤の開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K06024
研究機関富山大学

研究代表者

豊岡 尚樹  富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (10217565)

研究分担者 遠藤 智史  岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (60433207)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードオートファジー阻害剤 / Atg4B阻害剤 / in silicoスクリーニング / 構造―活性相関
研究実績の概要

現在用いられているオートファジー阻害剤はPI3キナーゼとリソソームの阻害剤のみであり、これらはオートファジー特異的阻害剤ではない。本研究ではオートファジー特異的阻害剤の創製を目指し、以下研究を展開した。in silicoスクリーニングによって、オートファジー特異的なイベントであるオートファゴソーム膜形成に必須のAtg4B阻害剤候補化合物の探索を行った。in silicoスクリーニング法により選抜した17種類の化合物の内、化合物17が最も強力なAtg4B阻害活性を示した。また化合物17はアミノ酸枯渇培地を用いて誘導したオートファジーを有意に阻害したことから、新規オートファジー阻害剤であることを見出した。さらに化合物17はCRPC治療薬であるabirateroneおよびenzalutamideによって誘導されるオートファジーも阻害し、上記薬剤の抗がん活性を増強することも明らかとなった。次に化合物17の構造を基により強力なオートファジー特異的阻害剤を創製すべく、新規誘導体の合成に着手した。合成した誘導体の中で化合物21fが最も強力なAtg4B阻害活性を示し、その効果は化合物17よりも優れていた。また合成した誘導体間の活性を比較した結果、明確な構造―活性相関を明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オートファジーはリソソームを介したタンパク質分解機構のひとつであり、不要な細胞質成分、細胞小器官、病原体の除去のみならず、免疫系や炎症の制御などに関与しており、生体の恒常性維持に貢献する。がんにおいてオートファジーは発がん抑制に関与する一方で、自身の過剰な細胞増殖や抗癌剤投与に由来するさまざまなストレスに対して防御的にはたらくことで、がん細胞の生存や薬剤耐性化に貢献する。したがって、オートファジーはがん治療における新たな標的として注目を集めている。そこで、オートファジー特異的なイベントであるオートファゴソーム膜形成に必須のAtg4B阻害剤候補化合物の探索を行った。その結果、Atg4B阻害活性は芳香環上のアルキル基の長さに大きく依存し、阻害活性の発現にはベンゾイルアクリル酸ユニットが重要であることを突き止めた。化合物21fに関しても、オートファジー阻害を介してCRPC治療薬の抗がん活性が増強された。以上の結果より、化合物21fはCRPCに対する新規がんアジュバント薬として極めて有効であると考えられる。

今後の研究の推進方策

今年度獲得したオートファジー特異的阻害剤である化合物21fを基盤としたよりドラッガブルなAtg4B阻害剤の創製に取り組んでいる。具体的に、阻害活性の発現にはベンゾイルアクリル酸ユニットが重要であることから、本構造を固定し、その他の置換基及び側鎖の変更を順次行い、Atg4B阻害活性を検討する。さらに、構造ー活性相関を踏まえ、Atg4B活性部位へのドッキングシミュレーションを行い、より効率的な構造単位を明確にし、新たな合成戦略へと繋げる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 前立腺がん治療の改善を目指した新規オートファジー特異的阻害剤の創製2023

    • 著者名/発表者名
      小林奈央, 工藤優大, 藤田芽衣, 吉野雄太, 松永俊之, 五十里彰, 遠藤智史, 岡田卓哉, 豊岡尚樹
    • 学会等名
      第40回メディシナルケミストリーシンポジウム
  • [学会発表] 膵がんの抗がん剤耐性克服を目指した新規オートファジー阻害剤の開発2023

    • 著者名/発表者名
      工藤優大,廣田光太郎,都築歩乃佳,吉野雄太,小林奈央, 岡田卓哉, 豊岡尚樹,遠藤智史,五十里彰
    • 学会等名
      第40回メディシナルケミストリーシンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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