研究課題/領域番号 |
23K06026
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐野 茂樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (20226038)
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研究分担者 |
中尾 允泰 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 講師 (60550001)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | HWE反応 / α,β-不飽和エステル / ジアステレオ分岐的 / リン-硫黄結合 / リン-窒素結合 |
研究実績の概要 |
2-ビス(ベンジルチオ)ホスホリル酢酸メチルとベンズアルデヒドのホーナー・ワズワース・ エモンズ(HWE)型反応を種々の反応条件で検討した結果、ベンズアルデヒドに対して1.1当量のビス(ベンジルチオ)ホスホリル酢酸メチルと1.3当量のナトリウムヘキサメチルジシラジド(NHMDS)を用い、無水テトラヒドロフラン中0℃で反応を行うと、E体のα,β-不飽和エステルのみが立体選択的に得られた。次に、ベンズアルデヒドに対して1.3当量のビス(ベンジルチオ)ホスホリル酢酸メチルと1.1当量のナトリウムヘキサメチルジシラジドを用い、無水テトラヒドロフラン中0℃で反応を行うと、Z選択的(E / Z = 14 : 86)に反応が進行し、反応温度を-78℃まで下げることでZ選択性はE / Z = 2 : 98に向上した。一方、2-ビス(ベンジルチオ)ホスホリル酢酸メチルの硫黄原子を酸素原子に置き換えた2-ビス(ベンジルオキシ)ホスホリル酢酸メチルとベンズアルデヒドのHWE反応では、HWE試薬とNHMDSの当量関係に依存したジアステレオ選択性の逆転現象は認められなかった。したがって、2-ビス(ベンジルチオ)ホスホリル酢酸メチルはα,β-不飽和エステルのジアステレオ分岐的合成を可能とする新規HWE型試薬であることが明らかとなった。 次に、2-ビス(ベンジルアミノ)ホスホリル酢酸メチルと3-フェニルプロピオンアルデヒドのイソプロピルマグネシウムブロミド条件での付加反応と、それに続くシリル化条件でのオレフィン化反応を種々の反応条件で検討した結果、α,β-不飽和エステルが高いZ選択性(E / Z = 7 : 93)で生成することを見出した。一方、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)を塩基として用いると一挙にHWE型反応が進行し、E体のα,β-不飽和エステルのみが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2-ビス(ベンジルチオ)ホスホリル酢酸メチルとベンズアルデヒドのHWE型反応の反応条件を精査することで、α,β-不飽和エステルのジアステレオ分岐的合成が可能であることを見出した。さらに、2-ビス(ベンジルアミノ)ホスホリル酢酸メチルと3-フェニルプロピオンアルデヒドのイソプロピルマグネシウムブロミド条件での付加反応と、それに続くワンポットでのオレフィン化反応により、Z選択にα,β-不飽和エステルが得られることを見出した。 したがって、当初の計画の基盤となる新知見が得られたことから、本研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2-ビス(ベンジルチオ) ホスホリル酢酸メチルと種々のアルデヒドのジアステレオ分岐的HWE型反応を精査するとともに、ベンジルチオ基を他のオルガノチオ基に変換することで新規HWE型試薬の化学構造の最適化を検討する。 2-ビス(ベンジルアミノ)ホスホリル酢酸メチルと種々のアルデヒドの2段階反応によるα,β-不飽和エステルのジアステレオ分岐的合成を精査するとともに、ベンジルアミノ基を他のオルガノアミノ基に変換することで新規HWE型試薬の化学構造の最適化を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)3月に納品となり、支払いが完了していないため。 (計画)4月に支払いが完了する予定である。
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