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2023 年度 実施状況報告書

リン原子の立体化学が制御された糖1-リン酸誘導体によるLeishmania症治療薬の創製

研究課題

研究課題/領域番号 23K06032
研究機関東京理科大学

研究代表者

佐藤 一樹  東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 講師 (70822518)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードリーシュマニア原虫 / 糖1-リン酸誘導体 / 立体選択的合成
研究実績の概要

本研究では、リーシュマニア原虫が有するβ-Gal-(1→4)-α-Man-(1-P)の構造に注目し、その阻害剤候補分子として、上記構造の立体化学が制御されたリン原子修飾体に注目している。今年度は令和6年度以降に蛍光基を付与した2糖1-リン酸のリン原子修飾誘導体を固相合成するにあたり、蛍光基の固相担体への導入を試みた。7-ヒドロキシクマリンの誘導体を用いて検討を行ったが、7位のヒドロキシ基をグルタル酸無水物と反応させて固相担体上のアミノ基と反応できるように誘導体化すると、精製後に容易に原料に戻ることが分かった。これは、7位のヒドロキシ基の脱離能が高く、逆反応が進行しやすいためと考えられる。そのため、現在は7位をエーテル化して誘導体化することを試みている。
一方、本研究で阻害剤候補分子の性質を評価するにあたり、コントロールとして天然型の糖1-リン酸誘導体を効率的に合成することが極めて重要となる。令和5年度に、2糖1-ホスホロアミダイト誘導体をビルディングブロックとし、安定なボラノホスホトリエステル体を形成しながら鎖長伸長し、合成の最終段階でボラノホスホトリエステル体をジエステル体、さらにはホスホジエステルへと順次変換することで、2糖1-リン酸繰り返し構造を効率的に合成する手法を開発した。これまで鎖長を制御した誘導体の中では最長のオリゴマーの合成に成功し、論文として発表した (Org. Lett. 2023, 25, 3927-3931)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、今年度中に蛍光基を導入した固相担体を調製する予定であったが、蛍光基の想定外の反応性により、目標を達成することができなかった。しかし、その改善策を考案できていること、コントロールとなる2糖1-リン酸誘導体を効率的に合成する手法を確立し、学術論文として発表することができたことを加味し、(2)おおむね順調に進展している、とした。

今後の研究の推進方策

引き続き蛍光基の固相担体への導入について検討を進める。入手の容易さからクマリンの誘導体を蛍光基候補としたが、今後は合成の簡便さも加味しながら蛍光基の選定と導入を進める。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度は蛍光基を固相担体に導入することを想定して予算を策定していたが、蛍光基自体の合成に時間を要し、固相担体への導入検討に至らなかった。そのため、固相担体、および蛍光基の導入に必要な経費を令和6年度に持ち越した状況となっている。令和6年度中に蛍光基の合成、固相担体への導入を行うことで、研究計画、経費共に当初の計画通りに進行するものと考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Solid-Phase Synthesis of Glycosyl Phosphate Repeating Units via Glycosyl Boranophosphates as Stable Intermediates2023

    • 著者名/発表者名
      Sato Kazuki、Muramoto Kazumasa、Hagio Tomoya、I. Hara Rintaro、Wada Takeshi
    • 雑誌名

      Organic Letters

      巻: 25 ページ: 3927~3931

    • DOI

      10.1021/acs.orglett.3c01293

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Solid-Phase Synthesis of Glycosyl Phosphate Repeating Units Using Glycosyl Phosphoramidite Derivatives2024

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Sato、Takeshi Wada
    • 学会等名
      iPoPS2024
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Leishmania原虫の糖衣糖1-リン酸繰り返し構造の効率的な合成法の開発2024

    • 著者名/発表者名
      川戸一輝、佐藤一樹、和田猛
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] Leishmania原虫の糖衣1-リン酸繰り返し構造の効率的な合成法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      川戸一輝、佐藤一樹、和田猛
    • 学会等名
      第42回日本糖質学会年会
  • [学会発表] Solid-Phase Synthesis of Glycosyl Phosphate Repeating Units Using Glycosyl Phosphoramidite Derivatives2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Sato、Takeshi Wada
    • 学会等名
      International Congress on Pure & Applied Chemistry (ICPAC) Bali 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ホスホン酸誘導体を用いたグリコシルホスフェートの化学合成に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤一樹
    • 学会等名
      GlycoTokyo2023
    • 招待講演
  • [学会発表] グリコシルホスホロアミダイト誘導体を用いた糖1-リン酸構造の固相合成2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤一樹、和田猛
    • 学会等名
      第42回日本糖質学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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