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2023 年度 実施状況報告書

シトシンN4位の部位特異的アシル基修飾法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K06064
研究機関崇城大学

研究代表者

村瀬 裕貴  崇城大学, 薬学部, 助教 (10814486)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードRNA部位特異的化学修飾 / 官能基転移 / 反応性オリゴ核酸 / 6-Thioguanine / アセチル化剤 / 合成後修飾
研究実績の概要

mRNAは転写合成後に導入される様々な化学修飾により、多様な機能制御を受けている。これまでに、アデニンN6位のメチル修飾(m6A) やシュードウリジン(Ψ) など多くの化学修飾が同定されており、mRNAの翻訳レベル、高次構造の安定化、分解耐性、酵素感受性、細胞内輸送など多岐にわたる制御が解明されている。したがって、特定の化学修飾をRNAの任意の位置に選択的に導入する技術が創出されれば、これらのRNA機能を人為的に制御できる可能性がある。これらの化学修飾の中でも、近年ではシトシンのアセチル修飾が有用な化学修飾として期待されているが、既存の技術ではRNAの部位特異的なアセチル修飾は実現されていない。本研究では、標的塩基の相補位置に反応性アセチル基を導入したオリゴ核酸(Ac化核酸probe)を用いるアプローチによって、近接効果を利用した標的部位特異的なアセチル修飾を目指す。
Ac化核酸probeの合成は、配列中に6-チオグアニンを含むオリゴ核酸を原料とした合成後修飾によって実施した。反応性アセチル基の適切な構造を探索した結果、安定性と反応性をバランス良く兼ね備えた候補構造を見出だすことができた。この候補構造は安定性が高く、中性~塩基性条件下ではほとんど分解がみられないが、標的RNA鎖と二本鎖を形成するとRNAのアセチル化が効率よく進行することがわかった。また、反応条件の最適化により、現在までのところ最大で約80%の効率でアセチル修飾RNAを得ることに成功している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まずはAc化核酸プローブの合成を実施した。6-チオグアニンを含むオリゴ核酸を塩基性条件下にて各種求電子剤と反応させ、適切な反応性アセチル構造を探索した。その結果、良好な安定性と反応性を併せ持つチオエステル構造を候補構造として見出だした。RNAとの反応に関する条件検討の結果、pH8.5~pH10の緩衝液中にて効率的に反応が進行することがわかった。修飾反応後のRNAをMS測定にて解析したところ、アセチル基が一つ付加したRNAの分子イオンピークのみが検出された。また、Ac化核酸プローブと二本鎖を形成しないRNA鎖の組み合わせでは、RNAのアセチル化は全く進行しないことがわかった。アセチル化の塩基選択性を調べたところ、グアノシン(G)及びアデノシン(A)では30~50%程度、シチジン(C)及びウリジン(U)では約80%程度であることがわかり、本アセチル化剤は全ての塩基に対して使用可能であることがわかった。また、プリン塩基(A、G)とピリミジン塩基(C、U)にて反応性がやや異なることから、反応条件によっては塩基選択性を与えることも可能であることが示唆された。

今後の研究の推進方策

MS/MS測定によるフラグメント解析などにより、アセチル基の修飾位置の同定を行う。また、同様の方法論にてアセチル修飾以外の化学修飾の導入が可能かを検証し、本手法の基質一般性を調べていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

有機合成及び核酸修飾反応用の試薬・器具などの一部を研究室所有のものにて共用できたため、消耗品の購入費に未使用額が生じた。この未使用額は次年度使用予定の有機合成用試薬などの消耗品購入費に充当する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] CGGリピート関連疾患に対する低分子創薬2024

    • 著者名/発表者名
      村瀬 裕貴、塩田 倫史、佐々木 茂貴
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
  • [学会発表] Read-through of the premature-termination codon (PTC) based on the site-specific chemical modifications of mRNA2023

    • 著者名/発表者名
      Hirotaka Murase, Jeongsu Lee, Yosuke Taniguchi, Shigeki Sasaki
    • 学会等名
      日本核酸医薬学会第8回年会
  • [学会発表] Development of new oligonucleotide agents for site specific RNA acetylation2023

    • 著者名/発表者名
      Hirotaka Murase, Jeongsu Lee, Yosuke Taniguchi, Shuhei Imoto, Shigeki Sasaki
    • 学会等名
      The 50th international Symposium on Nucleic Acids Chemistry (ISNAC)
  • [産業財産権] 核酸の部位特異的アシル修飾剤2023

    • 発明者名
      村瀬 裕貴
    • 権利者名
      学校法人 君が淵学園
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-112639

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公開日: 2024-12-25  

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