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2023 年度 実施状況報告書

スプライソソーム構成因子の改変によるスプライシング制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K06093
研究機関北海道大学

研究代表者

米田 宏  北海道大学, 薬学研究院, 講師 (60431318)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードスプライシング / snRNA
研究実績の概要

本研究ではスプライシング制御の方策として、スプライソソームの骨格であるsnRNAの機能改変に注目している。snRNAはスプライソソーム構成因子を集合させるための足場となり、5種のsnRNAそれぞれが特異的な結合タンパク質とsnRNPと呼ばれるサブユニットを形成する。snRNAはsnRNPの足場となるだけでなく、配列の相補性を利用して5種のsnRNP同士の会合や、基質となるpre-mRNA配列の認識、結合も司る。そのため、snRNAに様々な配列改変を施すことで、改変snRNAを持つスプライソソームの機能を調整できる可能性がある。また、snRNAを中心とした分子間結合ネットワークはsnRNAの塩基修飾によって相互作用の強弱が調節され、適切なスプライシングを行うための微調整を担っていると予想される。本研究では我々がこれまで低分子化合物で誘導してきたスプライソソームの基質認識の正確性低下をsnRNAの改変により達成することを目指しているが、上記の通り、snRNAに変異導入した場合、修飾の変動も結果の解釈に重要となる。そこで、snRNAの配列改変と修飾変化を同時に検出するために、ナノポアシーケンサーを用いたsnRNAの状態変化の検出法の構築を試みている。まず多量のU2 snRNAをマウス肝臓から精製し、ナノポアシーケンサーで解読した配列データを元にして、配列決定を試みた。その結果、すでに生化学的手法で同定されている修飾部位が高頻度で誤読として検出された。この誤読を修飾塩基の変動検出に利用できる可能性があり、現在検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ナノポアシーケンサーで誤読を利用した修飾変動の解析の可能性に至るまでは順調であったが、その後の計算的な手法の構築や、snRNAの修飾レベルが変化したサンプルでの解析などは手を付けられておらず、やや進捗に遅れが出ている。

今後の研究の推進方策

U2 snRNAの修飾レベルに変動が見られる生体試料の調製に取り組み、誤読頻度を修飾レベルの強度として相関を見ることが可能であるかの検証を進める。また、スプライシングに変化を起こす可能性のあるsnRNA変異体の発現系を構築し、外部から導入したsnRNAの活性レベルとその塩基修飾レベルの検討も進めたい。

次年度使用額が生じた理由

snRNAの修飾変化を検討するには多量の生体組織由来のRNAが原材料として必要で、その材料を遺伝子改変マウスから採取する計画であったが、改変した遺伝子の影響で産仔が予定通りに得られず実験を実施できなかったため。また、低分子化合物を使用したスプライソソームの正確性調節機構の解析から、snRNAの別の角度からの改変の可能性が浮かび、一部実験計画も変更を検討し、調整したため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a Cell-Based Assay Using a Split-Luciferase Reporter for Compound Screening2023

    • 著者名/発表者名
      Sato Satoshi、Ariga Hiroyoshi、Maita Hiroshi
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 46 ページ: 1010~1014

    • DOI

      10.1248/bpb.b23-00042

    • 査読あり
  • [学会発表] Elucidation of an assembly mechanism of cytoplasmic U-bodies2023

    • 著者名/発表者名
      杉栞太朗、嶋田雄大、湯浅博晶、中川真一、米田宏
    • 学会等名
      日本RNA学会
  • [学会発表] Rapid separation of SMN from Coilin induce○d by small molecules2023

    • 著者名/発表者名
      Saki Ohazama, Shinichi Nakagawa, Hiroshi Maita
    • 学会等名
      RNA 2023 (The 28th Annual Meeting of the RNA Society)
    • 国際学会
  • [図書] Winding and Tangling. An Initial Phase of Membrane-Less Organelle Formation. In: Kurokawa, R. (eds) Phase Separation in Living Cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Maita, Shinichi Nakagawa
    • 総ページ数
      21
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-99-4885-7

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公開日: 2024-12-25  

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