研究課題/領域番号 |
23K06100
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
嶋本 顕 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (70432713)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ウェルナー症候群 / iPS細胞 / 上皮系組織 / 早期老化 / 白内障 / テロメア |
研究実績の概要 |
早老症ウェルナー症候群は加齢に伴う疾患を20代以降早期に発症する劣性遺伝病である。我々はウェルナー症候群における「上皮系細胞の老化促進機構」を明らかにすることを目的として、WS iPS細胞から分化誘導した上皮系組織(眼組織)の増殖・分化・成熟により形成される組織を疾患モデルとして,早期老化の分子基盤をテロメア異常,DNA複製障害,ヘテロクロマチン異常等を通じて明らかにし,上皮組織の早期老化の発症機序を解明することを最終目標とする。 [方法] WRN遺伝子に突然変異をもつ患者由来WS iPSと、片方の突然変異アレルを正常配列に編集したiPS細胞を用いて水晶体への分化誘導を行い遺伝子発現解析を行った。Murphyらによる水晶体を誘導する方法 (N2B27法)と、HayashiらによるSEAM法を用いた。また白内障の誘導にはCl-チャネルCFTRの活性化剤Vx-770を用いた。 [結果] それぞれの分化誘導系において、一部の細胞が脱落しながら形態に変化が生じたが、その過程でWS細胞 (WRN-/-)、及び編集細胞 (WRN+/-)に顕著な差は認められなかった。遺伝子発現解析の結果、WS細胞では水晶体マーカーである各種クリスタリン遺伝子 (CRYAA, CRYAB, CRYBB2)の発現量が編集細胞に比べて低下しており、その傾向はVx-770処理後にも認められた。また、各種水晶体マーカーの発現量を比較した結果、WS細胞においてmajor intrinsic protein (MIP)の発現量低下が認められた。 [考察] クリスタリン遺伝子及びMIP遺伝子の変異は白内障の危険因子として知られている。本研究の結果から、WS患者の眼組織では水晶体形成時よりこれらの水晶体の恒常性維持に関する因子の発現量が低下し脆弱な組織構造となった結果、若齢より水晶体が変性し白内障を発症する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPS細胞を用いた眼組織への誘導については、概ね順調に進展していると思われる。遺伝子発現解析から、疾患モデルとしての有用性が示唆されたが、形態学的な解析も充実させる必要があると考えている。また上皮組織として皮膚組織への分化誘導についても並行して進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
iPS細胞を用いた眼組織への誘導について、抗体等を用いた形態学的な解析に重点を置いて研究を進めたいと考えている。とくにSEAM法において形成される水晶体領域のマーカー発現強度や面積において、患者と正常で違いが認められるかどうか明らかにしたいと考えている。また上皮組織として表皮角化細胞への分化誘導を行い、その過程で得られる表皮幹細胞について、患者と正常で分裂寿命等に違いがないかどうか検討を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
軽微な差額であり、当初の計画通りに使用したと考えている。従って、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画についても、大幅な変更を行わずに進める予定である。
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