研究課題/領域番号 |
23K06142
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
水本 秀二 名城大学, 薬学部, 准教授 (40443973)
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研究分担者 |
吉沢 隆浩 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 助教 (40713392)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / UDP / ノックアウトマウス / 糖転移酵素 |
研究実績の概要 |
糖転移酵素反応により生じたUDPは、カルシウム依存性ヌクレオチダーゼ1 (CANT1) によりウリジン一リン酸 (UMP) に変換され、糖ヌクレオチド輸送体を介して細胞質に排出される。CANT1の変異によってデビュクオア骨異形成症または偽性捻曲性骨異形成症が発症する。さらに、GAGの生合成に関わるキシロース転移酵素 (XYLT)、グルクロン酸転移酵素-I (GlcAT-I)の変異によっても、デビュクオア骨異形成症または偽性捻曲性骨異形成症を発症する。UDPは糖転移反応の副産物として生成するが、CANT1の変異によってUDPがUMPに代謝されず、ゴルジ体内に蓄積される。この蓄積したUDPによって、XYLT1、GlcAT-IまたはUGDが阻害され、同じ遺伝病が発症したと考えた。そこで、UDPによるXYLT1、GlcAT-I、UGD酵素活性への阻害を調べた。さらに、原料であるUDP-Xylを合成するUDP-GlcAデカルボキシラーゼへの影響も調べた。その結果、XYLT活性、GlcAT-I活性、UDP-GlcAデカルボキシラーゼ活性は、UDPの存在下、顕著に低下した。したがって、CANT1の変異患者では、UDPをUMPに代謝できずに、蓄積したUDPがこれら三者の酵素反応を阻害し、キシロースおよびグルクロン酸の付加ができなくなることで、正常なプロテオグリカンが合成されず、GAG欠損症と同様も遺伝性の骨系統疾患を発症すると推定される。 また、GlcN6P-N-アセチル転移酵素1 (GNPNAT1)、GlcNAc6PをGlcNAc1Pに異性化するホスホグルコムターゼ3 (PGM3) の変異により、骨形成異常症を発症するが、変異タンパク質の酵素活性を測定するため、両遺伝子のサブクローニングを行った。 これらの成果を踏まえ、国際誌に原著論文1報、学会での発表を7回行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種々の糖転移酵素の変異型酵素を発現させ、UDPによる阻害効果を実証し、学会報告した。さらに、GNPNAT1、PGM3のノックアウトマウスの作製に向け、遺伝子をクローニングした。
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今後の研究の推進方策 |
GNPNAT1、PGM3のノックアウトマウスを作出し、表現型の解析を行う予定である。 さらに、両遺伝子の変異に起因するヒトの遺伝病(近位肢節短縮型骨異形成症/脊椎骨端骨幹端異形症および知的障害・免疫不全を伴う骨形成異常症)の発症機序の解明のため、変異型酵素の酵素活性測定や、細胞内局在を調べる予定である。
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