研究課題/領域番号 |
23K06144
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
吉場 聡子 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 主任研究官 (70642213)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Cas9 / タンパク質分解 / 遺伝リスク |
研究実績の概要 |
ゲノム編集における遺伝リスクには、意図しない領域における小さな欠失や挿入、置換に加えて、ゲノムの構造変異や遺伝子のコピー数の増減など、染色体の再構成レベルの大きな変化があることが知られている。特に、細胞内でCas9が長時間持続的に作用することによって、その遺伝リスクが高まる可能性が指摘されている。本研究では、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集において、Cas9の長期曝露及び特定の細胞周期における曝露が及ぼす影響について、Cas9の作用により誘起されうる意図しない変異のうち、構造変異やコピー数変化などゲノムの大きな変化について検証を行い、その遺伝リスクを明らかにすることを目的としている。初年度は、正常な二倍体を持つRPE-1細胞において、細胞内でCas9を自在に誘導・分解が可能な独自システムを作成した。具体的には、Tet-onによるCas9の発現誘導とauxin-degronによる可逆的タンパク質分解を利用して、細胞内Cas9のonとoffを自在に制御できる細胞を作出し、この細胞を用いてターゲットの遺伝子配列を編集できることを確認した。次年度はこの細胞を用いて、Cas9の作用時間の検討とシステムの最適化を行う。また同時に、Cas9のターゲット箇所において大きな欠損が起こった細胞を抽出可能な系についても作成を進める予定である。Cas9の作用時期を厳密にコントロールすることで、変異の頻度や種類について詳細な検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、細胞の作成と検証を計画していたが、予定通りに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、初年度に作成した細胞内Cas9のonとoffを自在に制御できる細胞を用いて、Cas9の作用時間の検討とシステムの最適化を行う。また同時に、Cas9のターゲット箇所において50 bp以上の大きな欠損が起こるとEGFPが消光するシステムを導入し、大きな変異を持つ細胞を抽出可能な系についても作成を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に予定していた物品費、旅費を次年度に使用することとした。また次年度は、人件費を多めに計上する予定である。
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