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2023 年度 実施状況報告書

シャペロン介在性オートファジーを活性化し脊髄小脳失調症に有効なNrf2活性化薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K06161
研究機関姫路獨協大学

研究代表者

関 貴弘  姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (50335650)

研究分担者 香月 博志  熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (40240733)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードシャペロン介在性オートファジー / Nrf2
研究実績の概要

これまで研究で、シャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化する化合物が脊髄小脳失調症(SCA)の予防薬・治療薬となりうること、転写因子Nrf2を活性化する化合物がCMAを活性化することを明らかにした。そこで、新たにCMAを活性化するNrf2活性化薬を探索し、SCAの予防薬・治療薬候補となりうるかを解析することが本研究の目的である。
過去にNrf2を活性化するターメロン誘導体を同定したが、さらに強くNrf2を活性化する目的で新たな誘導体を作製した。その結果、Nrf2をさらに強く活性化する化合物を複数同定した。一方、これら化合物がCMAを活性化するかを解析した結果、CMAを活性化する化合物を一つ同定したものの、そのCMA活性化能とNrf2活性化能が相関しなかった。この化合物がCMAを活性化するメカニズムの解析を行った結果、持続的なp38活性化がCMA活性化に関与することを解明した。また、このCMA活性化作用が神経細胞株の保護作用に関わることも明らかにした。
また、こちらもNrf2を活性化することが報告されているクルクミンとさらにNrf2活性化能の強いクルクミン誘導体について、CMA活性化能を解析した結果、どちらの化合物もCMA活性化能を示さなかった。以上の結果から、Nrf2活性化能とCMA活性化能は相関しないという本来の目的とは異なる結果が得られたものの、CMA活性化能を有する新たな化合物の同定に成功した。
さらに、化合物ライブラリーのスクリーニングから、新たにCMAを活性化する化合物の同定にも成功している。この化合物とNrf2活性の関連についてはこれから検証していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた化合物全ての解析はまだ終わっていないものの、CMAを活性化し、細胞保護作用を有する新規化合物を同定できているため、本年度の計画としてはおおむね順調である。

今後の研究の推進方策

次年度以降は同定したCMA活性化化合物がSCAの予防薬・治療薬の候補となるかを検証していく予定である。次年度は初代培養小脳プルキンエ細胞を用いて、数種類のSCAモデル細胞を作製し、その表現型である樹状突起縮小に対して、CMA活性化化合物が効果を示すかを検証していく。次年度後半から最終年度にかけては、SCAモデルマウスにCMA活性化化合物を投与し、進行性運動障害や小脳神経細胞死、グリア細胞活性化などのin vivo表現型に対して、CMA活性化化合物が効果を示すかを検証していく。

次年度使用額が生じた理由

本年度、解析を予定していた化合物の一部の解析ができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は本年度できなかった化合物の解析を改めて行いつつ、本来の計画である初代培養神経細胞を用いたin vitro SCAモデルでの化合物の効果解析を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] University of Michigan(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Michigan
  • [雑誌論文] Wild-type and pathogenic forms of ubiquilin 2 differentially modulate components of the autophagy-lysosome pathways2023

    • 著者名/発表者名
      Idera Akiko、Sharkey Lisa M.、Kurauchi Yuki、Kadoyama Keiichi、Paulson Henry L.、Katsuki Hiroshi、Seki Takahiro
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 152 ページ: 182~192

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2023.05.002

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Matcha Tea Powder’s Antidepressant-like Effect through the Activation of the Dopaminergic System in Mice Is Dependent on Social Isolation Stress2023

    • 著者名/発表者名
      Kurauchi Yuki、Ohta Yuki、Matsuda Keigo、Sanematsu Wakana、Devkota Hari Prasad、Seki Takahiro、Katsuki Hiroshi
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 15 ページ: 581~581

    • DOI

      10.3390/nu15030581

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Different solubilizing ability of cyclodextrin derivatives for cholesterol in Niemann?Pick disease type C treatment2023

    • 著者名/発表者名
      Yamada Yusei、Takahiro Seki、他24名
    • 雑誌名

      Clinical and Translational Medicine

      巻: 13 ページ: e1350

    • DOI

      10.1002/ctm2.1350

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Acyclic retinoid peretinoin reduces hemorrhage-associated brain injury in vitro and in vivo2023

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi Sakino、Kinoshita Keita、Kurauchi Yuki、Seki Takahiro、Kimura Yasuyuki、Suzuki Masaaki、Suzuki Keiichi、Koyama Hiroko、Kagechika Hiroyuki、Katsuki Hiroshi
    • 雑誌名

      European Journal of Pharmacology

      巻: 954 ページ: 175899~175899

    • DOI

      10.1016/j.ejphar.2023.175899

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Therapeutic effect of allicin in a mouse model of intracerebral hemorrhage2023

    • 著者名/発表者名
      Atef Yara、Kinoshita Keita、Ichihara Yusei、Ushida Keisuke、Hirata Yuma、Kurauchi Yuki、Seki Takahiro、Katsuki Hiroshi
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 153 ページ: 208~214

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2023.09.007

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 非アルコール性脂肪性肝疾患モデルに対するD-cysteineの効果2024

    • 著者名/発表者名
      関 貴弘, 那須健斗, 前田仁志, 人羅菜津子, 倉内祐樹, 今野 歩, 平井宏和, 渡邊博志, 丸山 徹, 香月博志
    • 学会等名
      第144回日本薬理学会近畿部会
  • [学会発表] Aromatic-turmerone 類縁体がシャペロン介在性オートファジー及びミクロオートファジー活性に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      本村 健祐, アレックス ボアテング, 杉浦 正晴, 倉内 祐樹, 香月 博志, 関 貴弘
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
  • [学会発表] 神経変性疾患の治療・予防標的としてのシャペロン介在性オートファジー2023

    • 著者名/発表者名
      関 貴弘
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] マウス脳内出血病態に対するmenaquinone-4の効果2023

    • 著者名/発表者名
      牛田 啓介, 木下 慶大, 倉内 祐樹, 関 貴弘, 香月 博志
    • 学会等名
      第66回日本神経化学会大会
  • [学会発表] AAVベクターを活用した脊髄小脳失調症共通の発症機序解明と治療薬探索2023

    • 著者名/発表者名
      関 貴弘
    • 学会等名
      第66回日本神経化学会大会
  • [学会発表] Aromatic-turmerone 類縁体がシャペロン介在性オートファジー及びミクロオートファジー活性に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      本村 健祐, アレックス ボアテング, 杉浦 正晴, 倉内 祐樹, 香月 博志, 関 貴弘
    • 学会等名
      第66回日本神経化学会大会
  • [学会発表] SUMO化修飾阻害はマウス脳内出血後の血腫除去と病態回復を低下させる2023

    • 著者名/発表者名
      木下 慶大, 倉内 祐樹, 関 貴弘, 香月 博志
    • 学会等名
      第66回日本神経化学会大会
  • [学会発表] 脊髄小脳失調症の原因タンパク質は、共通して樹状突起縮小とタンパク質分解の障害を引き起こす2023

    • 著者名/発表者名
      植田 恵梨香, 今野 歩, 平井 宏和, 倉内 祐樹, 香月 博志, 関 貴弘
    • 学会等名
      第66回日本神経化学会大会
  • [学会発表] Aromatic-turmerone類縁体はNrf2活性化を介してドパミン神経を保護するAromatic-turmerone類縁体はNrf2活性化を介してドパミン神経を保護する2023

    • 著者名/発表者名
      関 貴弘, 堀 ユリア, Boateng Alex, 杉浦 正晴, 倉内 祐樹, 香月 博志
    • 学会等名
      第143回日本薬理学会近畿部会
  • [産業財産権] 非アルコール性脂肪性肝疾患治療薬2023

    • 発明者名
      香月博志、前田仁志、関 貴弘、那須健斗
    • 権利者名
      香月博志、前田仁志、関 貴弘、那須健斗
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願非アルコール性脂肪性肝疾患治療薬

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公開日: 2024-12-25  

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