研究課題/領域番号 |
23K06177
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
松田 将也 摂南大学, 薬学部, 講師 (30783005)
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研究分担者 |
奈邉 健 摂南大学, 薬学部, 教授 (40228078)
北谷 和之 摂南大学, 薬学部, 准教授 (40539235)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アレルギー / 細胞外小胞 / Type 1 regulatory T 細胞 / アレルゲン免疫療法 / 2型自然リンパ球 |
研究実績の概要 |
アレルギーの根治療法であるアレルゲン免疫療法(AIT)を行った個体では、AIT処置部位近傍のリンパ組織において、制御性T細胞の一種であるTr1細胞の増加が認められる。一方、炎症部位では、アレルギー増悪に関与する2型自然リンパ球(ILC2)の減少が認められる。したがって、リンパ組織と炎症部位の間に相互調節機構の存在が推察されるが、その詳細は不明である。Extracellular vesicles(EVs)は、細胞が分泌する膜小胞であり、遠隔の細胞に運ばれ、受容細胞の機能変化に関与する。本研究では、AITの効果発現におけるTr1細胞由来EVs(Tr1-EVs)の役割を明らかにすることを目的に、ILC2の活性化に及ぼすTr1-EVsの影響を解析した。 マウス脾臓CD4+ T細胞をIL-21、IL-27およびTGF-β存在下において培養し、Tr1細胞を誘導した。Tr1細胞ならびにナイーブCD4+ T細胞は、抗CD3/28抗体刺激下において培養した後、それぞれのEVsを単離した。Tr1細胞あるいはナイーブCD4+ T細胞由来EVs存在下において、ILC2を培養後、サイトカイン産生ならびに増殖を解析した。 (1)Tr1-EVsは、ILC2のIL-5およびIL-13産生を濃度依存的に抑制した。一方、ナイーブCD4+ T細胞由来EVsは、その産生を濃度依存的に増強した。(2)Tr1細胞由来EVsの存在下においてILC2を培養すると、その増殖が有意に減弱した。一方、ナイーブCD4+ T細胞由来EVsのILC2増殖に対する有意な抑制は認められなかった。(3)Tr1細胞由来EVsにおいては、ナイーブCD4+ T細胞と比較して大量の抗炎症性サイトカインの含有が認められた。 Tr1-EVsは、ILC2の増殖を抑制することで、炎症の鎮静化に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Tr1-EVsの単離方法などを概ね確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
Tr1-EVsの抑制機構を明らかにするために、Tr1-EVsに含有されるmiRNA、タンパクなどの解析を行う。さらに、Tr1-EVsを喘息モデルマウスに投与することで、その病態形成を抑制するか否か検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部計画に変更が生じたため。2024年度はTr1-EVsの抗炎症機序を詳細に解析するとともに、in vivoにおける抑制効果などを詳細に明らかにする。
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